オリストストローム(読み)おりすとすとろーむ(その他表記)olistostrome

デジタル大辞泉 「オリストストローム」の意味・読み・例文・類語

オリストストローム(olistostrome)

さまざまな大きさの小岩体やれき泥質基質に含まれた地質体。海底の未固結な堆積層が大規模な地滑りを起こすことで生じたと考えられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オリストストローム」の意味・わかりやすい解説

オリストストローム
おりすとすとろーむ
olistostrome

巨大岩塊を含む大規模な海底地すべり堆積(たいせき)物。従来のスランプ礫岩(れきがん)、海底地すべり礫岩といわれていたもののうち、通常の地質図に示されるほど広く分布するものは、これに含まれる。小礫から長径数キロメートルに至る大小さまざまのレンズ状の小岩体やブロック(地塊)が泥質基質中に不規則に入っており、普通の礫岩とは明らかに異なる。その岩質には、大陸棚起源の堆積岩、蛇紋岩などの超塩基性岩、橄欖(かんらん)岩、玄武岩などのオフィオライト組合せから花崗(かこう)岩質岩石までさまざまある。これらのブロックはオリストリスolistolithとよばれる。

 成因的には次の3通りが知られている。すなわち、(1)オリストストロームを含む地層と同一累層(るいそう)に由来する表層すべりによるもので、半固結ないし未固結状態のときに生成したもの。(2)それを含む正常層よりも時代的に古い同一堆積盆地内の他の地層に由来するもの。(3)別の堆積盆地から移動してきたナップの先端部が崩壊したもの、などである。

岩松 暉 2016年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オリストストローム」の意味・わかりやすい解説

オリストストローム
olistostrome

泥質物の多い地層海底地すべりによって移動し,再び堆積してできた地層。直径が数mから数kmの大きさの角礫岩を含んでいて,地形図上にはっきりと表現できるほど大規模なものをいう。造山帯造山運動によって生じることが多い。

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百科事典マイペディア 「オリストストローム」の意味・わかりやすい解説

オリストストローム

各種の岩石からなる岩塊が泥質の基質中に乱雑に含まれている地層。岩塊の大きさは径数cm〜数kmまでさまざまで,オリストリスと総称される。一種の水底地すべり堆積物と考えられる。堆積性メランジと同義
→関連項目メランジ

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岩石学辞典 「オリストストローム」の解説

オリストストローム

輪郭の明瞭な層が無秩序に集まり混合した堆積層で,不均一な塊と破片が泥質のマトリクス中に埋まっている.未固結の堆積物が海底で移動した結果できたもの[Flores : 1955].ギリシャ語のolistomaiは滑る,stromaは層の意味

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世界大百科事典(旧版)内のオリストストロームの言及

【乱堆積】より

…これは,地層が比較的急速に堆積し,地層の固結がまだ十分進んでいない状態で,堆積した斜面の傾斜が何らかの原因により増加したような場合に,斜面崩壊が原因で水中地すべりが生じたものである。大規模な地層の地すべりによって生じた地層をオリストストロームolistostromeと呼ぶ。(2)崩壊構造collapse structure 上にのるやや重い堆積物が下の軟らかい堆積物中に,荷重による変形により,めりこんでいる構造をいう。…

※「オリストストローム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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