日本大百科全書(ニッポニカ) 「オーデュボン」の意味・わかりやすい解説
オーデュボン
おーでゅぼん
John James Audubon
(1785―1851)
アメリカの鳥類研究家で画家。西インド諸島ハイチの生まれ。4歳のとき父とともにフランスに渡り、7歳から絵を習った。18歳でアメリカに渡り、フィラデルフィアの近くにあった父の農場で仕事をしながら英語の勉強と鳥の研究を始めた。22歳のときケンタッキー州へ移り、商売を始めたが思わしくなく、貧窮のうちに鳥の絵を描き続けた。描き方は鳥の羽の1枚1枚を詳しく描く細密ペン画法で、鳥の生態に忠実なことを目ざし、野外観察と採集に多くの時間を費やした。初めは一般に理解されなかったが、1827年から1838年にかけて、12年がかりで描き上げた435枚の大版細密鳥類画集『アメリカの鳥類』を刊行して不動の地位を築いた。没後1905年に彼を記念してオーデュボン協会が設立された。当初は鳥の愛好家や鳥類保護を目ざす人たちの集まりだったが、やがてアメリカ全土に500弱もの支部ができるほどに発展し、今日では原子力問題など、環境全体の保全を目ざして活動するようになり、対象も全世界に及んでいる。日本でもオーデュボンが改めて見直されるようになった。フロリダのキー・ウェストには彼の家と絵が保存されている。
[藤原英司]