日本大百科全書(ニッポニカ) 「サント・ドミンゴ」の意味・わかりやすい解説
サント・ドミンゴ
さんとどみんご
Santo Domingo
西インド諸島、ドミニカ共和国の首都。同国中南部、イスパニョーラ島南岸、オサマ川河口に位置する。人口160万9966(1993センサス)、206万1300(2002推計)。都市圏人口219万3046(1993センサス)、市域103万6494(2019推計)。1496年、コロンブスの弟バルトロメBartholomew Columbusによって建設された都市で、教会や行政機関が中央広場ソカロを取り囲み、街路は碁盤目状に配され、アメリカ大陸の植民都市の原型をなした。16世紀初期には、ベラスケスDiego Velázquez de Cuéllar(1465―1524)、コルテス、バルボアらによるカリブ海やアメリカ大陸への探検、征服の基地として重要な役割を担った。コロンブスを埋葬するサンタ・マリア・ラ・メノール寺院や、コロンブスの子ディエゴ・コロンDiego Colón y Moniz Perestrello(1474,1479/1480―1526)の居城(現在はコロン博物館)などの史跡が当時のおもかげを伝える。1936年から1961年までは、当時の大統領トルヒーヨの名をとってシウダー・トルヒーヨとよんだが、彼の死後、歴史的に由緒あるサント・ドミンゴに戻った。ハリケーンの常襲地にあり、1930年には壊滅的打撃を受けたが、トルヒーヨにより近代的町並みに再建された。1937年に近代化された港は同国有数の輸出入港で、砂糖、糖蜜(とうみつ)、カカオ、皮革、木材などが積み出される。工業は醸造業、食品加工業が中心であるが、近年は郊外にフリー・ゾーン(非課税地域)が設定され、輸入原材料加工による輸出製品の開発が進んでいる。1538年創設のサント・ドミンゴ大学はこの国の教育、文化の中心。カリブ海地域の海・空の交通の要衝の地にあり、観光業の発達も顕著である。
[栗原尚子]