明るい部屋の中でスクリーン上に映像を鮮明に拡大投影できる光学系の投影機器。OHPという呼称で知られる。その機能は、機器本体のほか、TP(トランスペアレンシーtransparency)とスクリーンが一体となってその効力を発揮する。TP(OHPシートともいう)は通常、無色透明のプラスチックのシートで、そこに文字や線画などを水性または油性の手書き用ペンで書くか、コピー機やプリンターなどで印刷出力し、それを投影資料をのせるステージに置き投影する。このステージの面積の大きさ(17センチメートル角―170形、25センチメートル角―250形、特別大形38センチメートル角―380形)により、拡大倍率、投影レンズ、機器本体の大きさなどに若干の差が出てくる。持ち運び可能な形のもので効果的な情報提示を行うことができるという特質が受けて、部屋を暗くする必要があった従来のスライドにかわって学校や企業において広く普及した。それにつれて、自作教材とともに市販教材の種類も学年別、教科別に飛躍的な増加をみた。また1990年代以降はスライドやOHPにかわって、パソコンなどに接続した高性能プロジェクターを用いて、画面をそのままスクリーンに映し出す手法が普及しつつある。
[西本洋一]
『21世紀教育の会編『OHPのすべて』(1971・小学館)』▽『櫛田磐ほか著『視聴覚教材を創る――スライド・OHP・録音・録画』改訂増補版(1984・学芸図書)』▽『西岡恒彦著『よく分かるOHPの活用法』(1992・ブレーン・ダイナミックス)』▽『小林図南著『新OHPテクニック――マルチメディアへの脱皮』(1995・オーム社)』▽『可視化情報学会編『可視化情報ライブラリー6 ビジュアルプレゼンテーション』(1998・朝倉書店)』▽『野津良夫編『視聴覚教育の新しい展開』(1998・東信堂)』
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