カイザイク
winged everlasting
Ammobium alatum R.Br.
オーストラリア原産のキク科の一年草。夏季に乾質の総苞に包まれた頭状花序を茎頂につける。茎には翼状の突出があることが特徴である。
花屋などでカイザイクと名づけて売っているものは,やはりオーストラリア原産のキク科の別属植物であるムギワラギクHelichrysum bracteatum Andr.(英名strawflower)から改良された園芸品の帝王貝細工である。これは草丈80~90cm。粗く枝を分けて夏には枝先に頭状花を単生する。つぼみは円錐形,開けば椀形になる。花弁のように見えるのは総苞片で黄,紅,ピンク,白などがあり,麦わら質で硬く,長い間,色光沢を失わないのでドライフラワーとして喜ばれる。花の中央部は管状花ばかりで,熟した種子は冠毛に風を受けて飛散する。一般には春4~5月に種をまいて7~8月に開花させるが,9月下旬に秋まきとして育て,冬は霜よけ下で保護すれば,初夏のころに開花する。日当りと排水のよい場所によく育つ。在来種は高性で草丈1mにもなるので摘心して分枝させるが,改良種には草丈30cmで開花する矮性(わいせい)大輪種があるので,花壇や鉢植えに利用することが多くなった。花束,花かごなどのドライフラワーのためには七分咲きのころに花首を摘みとり,直ちにテープを巻いた手芸用針金にさし込んで乾燥させる。花が開いてからでは乾燥中に花が開き,花心部が脱落する。
執筆者:浅山 英一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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カイザイク
かいざいく / 貝細工
[学] Ammobium alatum R.Br.
キク科(APG分類:キク科)の耐冬性多年草であるが、一般には一年草として扱う。オーストラリア原産。草丈80センチメートル、上部で分枝し、茎には翼を備えているのが特色である。茎葉は小さいが根出葉は大きく披針(ひしん)形。全株綿毛に覆われる。夏、分枝した茎頂に径2.5~5センチメートルの頭状花をつける。半球形の総包葉は真珠光沢のある白色で、花弁のようにみえる。この総包葉は株が枯れても残り、美しい貝殻状をなすのでカイザイクの名がついた。なかの花はすべて筒状をなし、黄色であるがのちに黒色を帯びる。栽培は非常に容易で春または秋に種子を播(ま)く。利用はドライフラワーがもっとも適している。本種は真正のカイザイクで、一般にカイザイクとよんでいるのは同じキク科のムギワラギクである。
[山口美智子 2022年2月18日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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カイザイク(貝細工)
カイザイク
Ammobium alatum; winged everlasting
キク科の多年草で,オーストラリア西部原産。高さ 60~80cmで茎には鰭のような翼がある。頭状花は径1~2.5cmで中心部には黄色の管状花が並び,周辺部に白くて光沢のある総包が取巻く。花全体が乾燥していて,そのままいわゆるドライフラワーとなる。なお,日本の園芸界では本種とは別属のムギワラギク (麦藁菊)をカイザイクまたはアンモビュームの名で呼ぶことも多い。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のカイザイクの言及
【オーストラリア】より
…他方,北東部~北部には,林床につる植物や着生植物がよく繁茂した亜熱帯林~熱帯雨林が出現する。また,西部の内陸ではスタート・デザート・ピーSturt’s desert pea(クリアンツス属),紙細工のような花を咲かせるムギワラギク(ヘリクリスム属),カイザイク(アムモビウム属),ヒロハハナカンザシ(ハナカンザシ属,ローダンセまたはロダンテともいう)など乾燥に適応した一年草が自生している。1科1属1種の食虫植物[フクロユキノシタ]はオーストラリア南西端の湿地だけに野生する珍しい植物である。…
※「カイザイク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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