かき氷(読み)かきごおり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「かき氷」の意味・わかりやすい解説

かき氷
かきごおり

氷を細かく削ったもの、およびこれにシロップなど甘味のあるものを加えたものの総称

歴史

かき氷は古く、『枕草子(まくらのそうし)』に出てくるけずり氷(ひ)がその最初であるといわれている。このけずり氷は、氷を削って甘葛煎(あまずら)をかけたもので、当時、饗宴(きょうえん)の献立に入れたり、貴族の夏の飲料として楽しまれていたようである。また、1841年(天保12)江戸で、かき氷にきな粉と砂糖をかけて食した記録がある。明治になって、氷が比較的自由に入手できるようになり、しだいにかき氷も普及した。明治初期には、函館五稜郭(はこだてごりょうかく)の天然氷が、蒸気船で東京、横浜へ送られるようになり、1869年(明治2)横浜の馬車道で町田房造がアイスクリームとともにかき氷を販売したのが、かき氷店の始まりといわれている。

河野友美大滝 緑]

種類

かき氷は、氷削り器とよばれる、鉋(かんな)を応用した器具で、氷塊を削ってつくる。氷を削ることで雪状となり、口あたりが柔らかで、シロップなどとなじみやすく、夏季の飲み物として広く親しまれている。みぞれは、少し粗めに削った氷に無色のシロップをかけたもので、ちょうど自然のみぞれに似ているためこの名がある。みぞれ類にはこのほかイチゴメロンレモンなどのシロップをかけたものがある。器の底に小豆(あずき)の甘煮を入れて上にみぞれをのせたものを金時といい、シロップの種類により、いちご金時、宇治金時抹茶(まっちゃ))などとよぶ。

[河野友美・大滝 緑]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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