かくれ不眠(読み)かくれふみん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「かくれ不眠」の意味・わかりやすい解説

かくれ不眠
かくれふみん

いわゆる不眠症と診断される状態と、単なる寝不足との中間の状態。治療を要するほど慢性的な不眠症ではなく、不眠に悩んでいるが放置していて日常生活に支障をきたしている状態であり、睡眠の重要性に対する本人認識は低い。

 日本人の約半数が、必要とされる睡眠をとることができていないといわれている。日本睡眠学会による「かくれ不眠」の定義は「軽度短期不眠状態」であるが、睡眠の専門家で構成される睡眠改善委員会が、睡眠改善を啓発する目的で一般にわかりやすい呼称としてこの表現を採用した。同委員会では、かくれ不眠解消のための正しい知識の発信と、健やかな眠りを支援することを目的に、12のチェック項目を提示している。すなわち、夜中に何度か覚醒する、思ったより早く起きてしまう、寝つきが悪いことが多い、平日眠れず休日に寝だめをする、起床時に熟眠感がない、昼間に居眠りをする、といった徴候ほかに、集中力が続かずイライラする、やる気が出ないなどの訴え、また、仕事が忙しいと夜更けまでがんばる、寝なくても大丈夫、眠れないのは異常ではない、睡眠時間が不規則、などといったチェック項目のうち、1~9項目チェックした人がかくれ不眠とされる。

 また同委員会の調査では、軽度短期不眠者に深夜飲食や食事時間が不規則であるなどの食事習慣が多く、首・肩・腰のはりやこり、全身疲労感などの身体の不調のほかに冷え性食欲不振がみられ、精神的負担感から不眠に陥るケースが多いことなどが明らかにされている。

[編集部 2016年7月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵mini 「かくれ不眠」の解説

かくれ不眠

慢性的な不眠症ではなく、睡眠の重要性に対しての認識も低いために、睡眠に悩みを持ちながらも積極的な対処を行っていない状態を指す造語。杏林大学医学部精神神経科教授の古賀良彦を中心とする睡眠改善委員会が命名したもので、医学用語ではない。同委員会は、かくれ不眠のタイプを症状や生活習慣に応じて次の5つに分類している。(1)不規則な生活により睡眠が削られている「生活不規則タイプ」、(2)自分を過信して睡眠を犠牲にしている「自分は大丈夫タイプ」、(3)不十分な睡眠によってストレスが顕在化している「高ストレスタイプ」、(4)質のよい睡眠がとれていない「眠りが浅いタイプ」、(5)軽度のかくれ不眠症状が見られる「初期かくれ不眠タイプ」。このうち、最も本格的な不眠症に近い重度のかくれ不眠は「自分は大丈夫タイプ」と「高ストレスタイプ」である。この2タイプは睡眠途中で目が覚める中途覚醒の回数が多く、時間も長いことが分かっている。

(2013-10-18)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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