カセム(読み)かせむ(英語表記)‘Abd al-Karīm Qāsim

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カセム」の意味・わかりやすい解説

カセム
かせむ
‘Abd al-Karīm Qāsim
(1914―1963)

イラク軍人政治家バグダードに生まれる。陸軍士官学校卒業。1948年パレスチナ戦争に従軍。1956年自由将校団の委員長となる。1958年7月14日クーデターを指揮して親西欧主義の王制打倒、共和制を樹立し、自ら首相兼国防相代理となった。アラブ民族主義を唱えたが、アラブ連合とは対立した。また、国内のバース党員やナセル主義者と対抗し、1959年3月のモスルで起きた軍部反乱後、一時共産主義者と結ぶがすぐ決別した。1960年代初めに立憲政治を復活させる試みをするが失敗。1960年以後はクルド人の反乱に手を焼いた。1963年2月、文民派バース党員と反共派将校たちのクーデターによって失脚、処刑された。

[木村喜博]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カセム」の意味・わかりやすい解説

カセム
Kassem, Abdul Karim

[生]1914.11.21. バグダード
[没]1963.2.9. バグダード
イラクの軍人,政治家。陸軍大学卒業。軍内部に自由将校団を組織して革命運動を推進。 1958年7月,クーデターによりファイサル国王を追放,共和制を樹立して首相となった。中立主義外交,国内改革を進め,一時アメリカイギリスの中東支配をゆるがしたが,次第に独裁化し,63年2月バース党のクーデターにより失脚,殺害された。

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