カナダ法(読み)カナダほう(その他表記)Constitutional Act

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カナダ法」の意味・わかりやすい解説

カナダ法
カナダほう
Constitutional Act

立憲条例とも呼ばれる。 1791年 12月 26日に発効した法令。イギリス議会により決定された。アメリカ独立後,北アメリカに残されたイギリス植民地の一つケベックは,フランス色の濃い植民地であったが,イギリス領となってからアメリカを追われた王党派 (ロイヤリスト ) の流入やイギリス人の移住で,イギリス系の住民が急増した。その結果,自由な土地所有制度や経済活動を望むイギリス系と,封建的な荘園制を好み,ケベック法で守られた宗教,言語,法律的慣習を固守するフランス系の住民とが対立し,イギリス政府はカナダ法を発布することでこの対立を緩和しようとした。カナダ法のもとにケベックはローアーカナダアッパーカナダという2つの行政単位に分けられることになった。それぞれが総督,任命制の行政評議会と立法評議会,選出制の立法議会をもち,ローアーカナダにはフランス系住民が多いためケベック法が適用され,イギリス系住民の多いアッパーカナダでは,ケベック法が廃止された。イギリス政府はアッパーカナダにおけるイギリス型諸制度の発達がローアーカナダへ影響を与えることを期待したが,ケベックが2分されることによって,かえっておのおのの独自性が守られ成長する結果となり,1840年連合法に取って代られた。

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