改訂新版 世界大百科事典 「ケベック法」の意味・わかりやすい解説
ケベック法 (ケベックほう)
Quebec Act
1774年,イギリス議会が制定したカナダのケベック地方の統治に関する法律。63年のパリ平和条約により,フランスからカナダとミシシッピ川以東の領土を譲渡されたイギリス政府は,北アメリカ統一支配計画作成になやんでいたが,やっと74年6月22日に成立したこの法律によって,フランス人住民の多いケベック地方にフランス民法とカトリック信教を認め,オハイオ川以北の土地をすべてケベック州に編入し,勅任総督と州議会に統治をゆだねた。この地方への移住を禁じられてきた反カトリック感情の強いアメリカ植民地人は,これを同年3月のボストン港封鎖法以来の抑圧諸法の一環とみ,同年9月5日第1回大陸会議を開いて,抑圧諸法とケベック法を非難する〈宣言と決議〉を採択し,大陸不買同盟を結成した。こうして,この法に対する反対気運は2年後の独立への重大な契機となった。
執筆者:武則 忠見
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報