改訂新版 世界大百科事典 「カナダ騎馬警察」の意味・わかりやすい解説
カナダ騎馬警察 (カナダきばけいさつ)
Royal Canadian Mounted Police
カナダの連邦警察の正式名称。RCMPと略称する。州警察をもっているオンタリオ州とケベック州を除く諸州では,州警察としても機能している。1873年西部地方の開拓にあたり,秩序と治安の維持を目的として北西部騎馬警察として創設された。現在の名称に変更されたのは,1920年のことである。創設時から赤い制服で親しまれているが,これはイギリス駐屯軍の制服をまねてインディアンの信頼を獲得しようとしたためであるという。西部地方の秩序と治安の維持には,密輸の取締りや渡り鳥の保護も含まれ,カナダ史において西部開拓がアメリカ史におけるそれよりも秩序立って行われた一因として,RCMPの存在があげられることが多い。インディアンにウィスキーを売る商人の監視などはその一例である。現在の規模は総勢約1万1000人,うち9000人が常時勤務についている。RCMPには警官のほか,20頭の警察犬,125頭の馬も含まれ,赤い制服の騎馬警官の姿は,カナダ観光の魅力の一つともなっている。RCMPはワシントン,ロンドンおよびパリの国際警察にも派遣されており,また,カナダ警察大学を設け警察官の養成を行っている。
執筆者:大原 祐子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報