日本大百科全書(ニッポニカ) 「カバリーニ」の意味・わかりやすい解説
カバリーニ
かばりーに
Pietro Cavallini
(1240ころ―1334)
イタリアの画家。13世紀後半から14世紀初頭にかけてローマで活躍した画家たち(ローマ派)の筆頭に数えられる。ローマ市に資産を有していたチェッローニ家の出身で、3点の史料しか残っていないため、その生涯に関する詳細は不明だが、主としてローマで活躍したこと、14世紀初頭にアンジュー家の招きでナポリに赴いたこと、長命であったことなどが知られている。彼の作風は、当時ローマに根づいていたロマネスク様式とビザンティンの絵画手法を基盤とするが、古代ないしは初期キリスト教美術に学んだと思われる新鮮な造形要素が認められる。人物は量感をもってしっかりと描かれ、人間性を備えている。代表作に、ローマのサンタ・マリア・イン・トラステベレ聖堂の後陣を飾るモザイク『聖母の生涯』(1291)や、サンタ・チェチリア聖堂のフレスコ画『最後の審判』(1293ころ)がある。
[石鍋真澄]