カフタン(読み)かふたん(英語表記)Julius Kaftan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カフタン」の意味・わかりやすい解説

カフタン
かふたん
Julius Kaftan
(1848―1926)

ドイツのルター派神学者。9月30日シュレスウィヒ州アペンラーデ近郊のロイトに生まれる。1881年バーゼル大学正教授、1883年ベルリン大学教授。1919年以後、宗教局次長を兼任。1926年8月27日ベルリンにて没。リッチュル学派に属し、宗教哲学的傾向が濃い。キリスト教に対するカント哲学の意義を高く評価し、宗教を「人間精神の実践的な事柄」と定義し、キリストの歴史的啓示から、歴史的明証性と普遍妥当性を価値判断の形で証明することを試みた。ただし、神秘性と権威とを倫理性と結合しようとした限りでは、リッチュルを修正したといえよう。兄のテオドールTheodor Kaftan(1847―1932)も牧師かつプロテスタント神学者として知られる。

[森田雄三郎 2018年1月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カフタン」の意味・わかりやすい解説

カフタン
caftan(kaftan)

トルコイランなど西アジア地方で着られる足首丈,長袖,前開きまたは前合せの服。語源はトルコ語の quaftān,またはペルシア語の khaftān。この地方では古代から上中層階級の人々に着用された型の衣服で,形は日本のきものに類し,概して身頃,袖とも直線裁ち,両脇に襠 (まち) を補い,やや体型に沿わせている。袖は幅がゆったりし,袖口が細くなっている場合が多い。前合せにして帯を締めるか,羽織風に前を開け放したまま,紐または留め具で留める場合もある。西洋では貫頭衣のポンチョ式に対する語として,前開き服のことをカフタン式またはカフタン型と呼び,衣服の基本型の一つになっている。

カフタン
Kaftan, Julius Martin

[生]1848.9.30.
[没]1926.8.27.
ドイツのルター派神学者。ルター派牧師のテオドール・カフタンの弟。バーゼル大学組織神学教授を経て,1883年よりベルリン大学宗教哲学教授。 A.リッチュルの思想影響を受けた神学を展開した。主著に『キリスト教の本質』 Das Wesen der christlichen Religion (1881) ,『教義学』 Dogmatik (97) ,『イエスパウロ』 Jesus und Paulus (1907) 。

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