日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラカルパクスタン」の意味・わかりやすい解説
カラカルパクスタン
からかるぱくすたん
Каракалпакстан/Karakalpakstan
中央アジア、ウズベキスタン共和国の北西部を占める自治共和国。面積16万4900平方キロメートル、人口166万6300(2003推計)。首都はヌクス。アラル海の南岸に位置するが、国土の大半はキジルクム砂漠で、年降水量100ミリメートル以下の極端な乾燥気候下にある。住民の大部分は、アムダリヤの下流部からアラル海に注ぐ三角州の周辺に住む。1970年代初頭に灌漑(かんがい)事業に成功し、綿花、小麦、養蚕、果樹栽培などの農業が発達した。しかし、1980年代以降、乾燥気候下での灌漑水の乱用によりアラル海の水位が低下、投下農薬や塩分が空中に飛散して住民の健康問題が発生した。平野部の広大な牧地ではカラクリヒツジ(カラクール)、ラクダの飼育が行われる。またアラル海南岸には窯業、皮革製品、家具、食品工業などが立地している。この地方には古くから、カラカルパク語を使用するカラカルパク人(人口の約30%)が住んでおり、1932年ソビエト連邦内の自治共和国として自治権が認められ、36年ウズベク共和国(当時)に編入されてカラカルパク・ソビエト社会主義自治共和国となっていたが、1991年のソ連崩壊後、ウズベキスタン共和国内のカラカルパクスタン自治共和国となった。ほかにウズベク人、カザフ人、トルクメン人、ロシア人など多様な民族が住んでいる。
[山下脩二]