カランコエ(英語表記)palm-beach-bells
Kalanchoe

デジタル大辞泉 「カランコエ」の意味・読み・例文・類語

カランコエ(〈ラテン〉Kalanchoe)

ベンケイソウ科カランコエ属の多肉植物総称マダガスカル島など熱帯分布。日本では園芸上、特にベニベンケイをさし、花茎の先に4弁花が多数房状につき、色は赤・橙・桃・黄色などがある。

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精選版 日本国語大辞典 「カランコエ」の意味・読み・例文・類語

カランコエ

  1. ( [ラテン語] kalanchoe ) ベンケイソウ科カランコエ属植物の総称。アフリカから東南アジアまで広く分布し、低木状または多年草で、葉肉は厚く対生し、集散花序を頂生する。鉢植えなどにして観賞用とする。

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改訂新版 世界大百科事典 「カランコエ」の意味・わかりやすい解説

カランコエ
palm-beach-bells
Kalanchoe

4弁の合弁花が特徴のベンケイソウ科カランコエ属の総称。また,そのうちの1種ベニベンケイK.blossfeldiana Poelln.の園芸品種も単にカランコエの名で売られている。この属は,多肉の対生する葉を有し,110種ほどが知られ,3群すなわちトウロウソウマダガスカルベンケイ,リュウキュウベンケイの3亜属に大別される。そのうちトウロウソウ亜属25種とマダガスカルベンケイ亜属11種は,前者のうちのセイロンベンケイ(トウロウソウ)K.pinnata Persoon.(英名air plant)を除いて,すべてマダガスカル島の原産である。トウロウソウ亜属は花が下向きに咲き,萼は大きい。葉を切り取れば,水を与えず乾かしておくだけで,周辺の鋸歯の間に不定芽が生じ,苗となる。これは葉で形成された植物ホルモンのβ-インドール酢酸(IAA)が移動できなくなり,鋸歯の間にある細胞の分化を促すからである。セイロンベンケイは汎熱帯に分布し,日本でも奄美大島や琉球諸島に見られる。マダガスカルベンケイ亜属は花が下向きに咲くが,萼は小さく,不定芽は花序に生じるが,葉にはできない。茎がしだれて花の美しい紅提灯K.manginii Hamet et Perr.やカランコエ・ユニフロラK.uniflora Hametが導入されている。リュウキュウベンケイ亜属は花が上向きに咲き,不定芽は作らず,アフリカ,マダガスカルから琉球諸島に分布し,最も多様な群である。仙女の舞K.beharensis Drakeは茎が木化し,高さが4mにもなり,ベンケイソウ科で最大の種である。葉は短毛におおわれ,周辺が波打った三角形で長さ30cmを超す。月兎耳(つきとじ)K.tomentosa Bakerも白毛が密生した,小さいながらウサギの耳形の葉をもつ。英名はpanda plantで,浅い鋸歯が焦茶色なので,白い葉と対比して名付けられた。マダガスカルではその葉を財布に入れておくと幸せがくるとの俗信がある。ベニベンケイはマダガスカル産の原種が改良され,赤,朱,橙,桃,黄色とさまざまな花色がある。リュウキュウベンケイK.spathulata DC.は黄花で,与論島が北限。

 栽培氷点下では枯死するので,越冬には5℃以上が必要。花芽は短日下で形成される。周年出荷されているが,これは日照時間を短くした短日処理を行ったもので,それを越冬させても,翌年からは冬から早春に開花する。繁殖挿木が容易。排水のよい土に植え,日に十分あて,高温多湿は避ける。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カランコエ」の意味・わかりやすい解説

カランコエ
からんこえ
[学] Kalanchoe

ベンケイソウ科(APG分類:ベンケイソウ科)の多年生の多肉植物。マダガスカル島、アフリカなど熱帯に広く分布する。紅弁慶(べにべんけい)とよばれるブロスフェルディアーナK. blossefeldiana V.Poelln.の園芸品種が広く栽培され、カランコエと通称されている。花は4弁で花柄の先に房状に多数つく。近年は品種改良が進み、桃、赤、橙(だいだい)、黄色など花色も豊富になり、矮性(わいせい)の鉢物用が多数ある。植物特許がある品種もあり、これは自家増殖が禁じられている。繁殖は実生(みしょう)、挿葉で容易にできるが、普通は挿葉による。6月ごろ川砂に挿し、半日陰にすると3週間ほどで発根する。発根後3号鉢に移植し、8~9月に摘芯(てきしん)すると多数分枝し、翌春には開花する。寒さには比較的強く、0℃くらいまで耐えるが、冬期は室内で育てる。性質もじょうぶで、日当りと水はけのよい土でよく育つ。

[金子勝巳 2020年3月18日]

 カランコエの原種の産地はマダガスカル島北部のツァラタナナ山(2880メートル)で、フランスの探検隊が発見した。そしてドイツの植物学者フォン・ポエルニッツが新種と認め、輸入と栽培に関係したブロスフェルド商会を記念して、1934年に学名ブロスフェルディアーナをつけた。改良はドイツで始まり、アメリカのドーエルンハイム社が作出した矮性のトム・サム系が普及した。

[湯浅浩史 2020年3月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カランコエ」の意味・わかりやすい解説

カランコエ
Kalanchoe

ベンケイソウ科多肉植物。カランコエ属はマダガスカルを中心に,アフリカから沖縄にいたる熱帯・亜熱帯地域に約 110種分布するが,日本でカランコエの名で最も多く流通しているのは,マダガスカル北部のツァラタナナ山脈に稀産するカランコエ・ブッロスフェルディアーナ K.blossfeldianaの園芸品種である。多肉質の葉は卵形で対生。直径8~10mmほどの小花が集って茎頂に集散花序を形成する。第2次世界大戦前に,ドイツのブロスフェルト商会から売出されたため,この名がある。現在は短日処理による開花調整で,周年出回る鉢花となっている。耐寒性はあまりなく,冬も5℃以上に保つ。繁殖は挿木によって行われる。排水のよい用土に植え,日当りのよい場所で育てる。カランコエ属はほかに,釣鐘形の花が垂れ下がるエンゼルランプと呼ばれる系統 (K.uniflorumK.prophyrokalyxなどの雑種) や,セイロンベンケイソウなども流通している。セイロンベンケイソウは葉縁に不定芽が形成され,天然のクローン植物としても観賞価値が高い。ハカラメ (葉から芽) とも呼ばれている。

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百科事典マイペディア 「カランコエ」の意味・わかりやすい解説

カランコエ

主としてアフリカ,マダガスカルに産するベンケイソウ科の一属。多年草または半低木で,110種余りがある。多くは多肉質の葉をもち,種類が多く,園芸的には多肉植物として扱われている。冬美しい花をつけるベニベンケイ,ベニチョウチン,エンゼルランプ,あるいは交雑品種のウェンディーなど花を観賞するもののほか,葉を観賞するツキトジセイロンベンケイシコロベンケイ等が温室内で栽培される。

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世界大百科事典(旧版)内のカランコエの言及

【ベンケイソウ】より

…コチレドン属Cotyledon(約50種を含む)と葉に褐色の斑紋が目だつアドロミスクス属Adromischus(約50種)などがある。カランコエ亜科はカランコエ属Kalanchoe1属だけで構成される。マダガスカルを中心に汎(はん)熱帯に分布し,花は筒状で,4数性,おしべは8本。…

※「カランコエ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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