カルモジュリン(英語表記)calmodulin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルモジュリン」の意味・わかりやすい解説

カルモジュリン
calmodulin

動物から植物まで,真核生物に広く分布する蛋白質。種による違いは少ない。分子内に4個のカルシウム結合部位をもち,この2個のカルシウムがつくと高次構造が大きく変化し,さまざまな不活性型蛋白質に結合してこれを活性化する。カルシウム濃度が低下するとカルシウムを離し,活性化していた蛋白質をもとの不活性型にもどす。こうして,細胞質のカルシウム濃度の変動に応じて細胞の機能を調節する役割をはたす。細胞質のカルシウム濃度は,ホルモン成長因子など細胞外からの刺激で上昇し,カルモジュリンによって活性化されるカルシウム輸送 ATPアーゼの作用で低下する。この結果,カルモジュリンは細胞外からの刺激信号を細胞機能に変換する中間メッセンジャーの一つとしてはたらく。カルモジュリンの作用をうける酵素はこの他アデニル酸シクラーゼグリコーゲン合成酵素ホスホリラーゼ,bキナーゼ,平滑筋ミオシン,L鎖キナーゼなど多数。酵素以外にも,細胞骨格蛋白質 (アクチンフィラメントなど) と相互作用する蛋白質にカルモジュリン結合活性がある。

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化学辞典 第2版 「カルモジュリン」の解説

カルモジュリン
カルモジュリン
calmodulin

真核細胞に広く存在しているカルシウムイオン Ca2+ 結合タンパク質.たとえば分子量1.67×104 の,ウシの脳のカルモジュリンは148個のアミノ酸残基からなり,カルシウム結合部位4か所を含んでいる.多くの動物,植物組織から単離され一次構造が決定されているが,相互によく似ており,たとえば原生動物テトラヒメナのカルモジュリンは,ウシの脳のそれと12残基の違いしかない.カルモジュリンの Ca2+ 結合定数は 106 程度で,一分子に2個の Ca2+ が結合すると高次構造が固くなり,種々のタンパク質リン酸化酵素を活性化する.カルモジュリンに支配される酵素には,アデニル酸シクラーゼ,ホスホリラーゼbキナーゼ,グリコーゲンシンターゼ,ATPアーゼ,ホスホリパーゼなど多数のタンパク質リン酸化酵素が知られている.また,酵素だけではなく,たとえば,アクチンフィラメントなど細胞骨格にも作用することが知られている.

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百科事典マイペディア 「カルモジュリン」の意味・わかりやすい解説

カルモジュリン

真核生物に広く存在するカルシウム結合性タンパク質。1971年に垣内史朗チェン独立発見。分子量約1万6000。ホスホジエステラーゼ,アデニル酸シクラーゼ,各種キナーゼ,Ca2(+/)-Mg2(+/)-ATPアーゼなど非常にさまざまな酵素を活性化するほか,細胞骨格の調節に関与することが知られている。細胞内のカルシウム濃度変化によって細胞機能が調節される際の,要になるタンパク質の一つ。

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