カワラナデシコ(読み)かわらなでしこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワラナデシコ」の意味・わかりやすい解説

カワラナデシコ
かわらなでしこ / 河原撫子
[学] Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) Kitam.

ナデシコ科(APG分類:ナデシコ科)の多年草。茎は直立、株立ちとなり高さ約50センチメートル。葉は広線形で長さ約5センチメートル、包葉は3対。秋に茎の先に2、3花をつけ、花弁桃色で先は細かく切れ込む。山地草原河原に生え、本州、四国、九州に分布する。かつて中国産のセキチクをカラナデシコ(唐撫子)とよんだのに対し、本種をヤマトナデシコ大和撫子)とよんだが、その清楚な姿から意味を転じ、日本的な女性のことを大和撫子というようになったといわれる。基本種は2対の包葉をもつエゾカワラナデシコで、中部地方以北の本州、北海道からシベリア、ヨーロッパに分布する。本州の高山には丈の短い変種のタカネナデシコが生育する。

[三木栄二 2021年1月21日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カワラナデシコ」の意味・わかりやすい解説

カワラナデシコ(河原撫子)
カワラナデシコ
Dianthus superbus

ナデシコ科の多年草で,日本各地の山野に広く分布する。単にナデシコともヤマトナデシコとも呼ばれる。茎は直立し数本固まって生え,高さ 50cm内外。葉は線形で対生し,基部は2葉がついて茎を抱き,節はふくらんでいる。夏,まばらに分枝した先端に,淡紅色で直径4~5cmの美しい花をつける。花弁は5枚で先端は糸状に裂ける。日本に野生する草花なかで最も美しいものの1つで,古くから秋の七草に数えられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

放射冷却

地表面や大気層が熱を放射して冷却する現象。赤外放射による冷却。大気や地球の絶対温度は約 200~300Kの範囲内にあり,波長 3~100μm,最大強度の波長 10μmの放射線を出して冷却する。赤外放射...

放射冷却の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android