カンスー省(読み)カンスー(英語表記)Gansu

翻訳|Gansu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンスー省」の意味・わかりやすい解説

カンスー(甘粛)〔省〕
カンスー
Gansu

略称はカン (甘) またはロン (隴) 。中国,西北地方中部の1級行政区。5特別市,7地区,2自治州に分れ,8市,60県,7自治県から成る。行政中心地はランチョウ (蘭州) 特別市。漢代に一部が隴西郡に属したことから略称が生じ,清で甘州と粛州を合せて省としたことが名称の由来である。チベット高原の北東縁に沿って細長く延びており,南東部はホワントー (黄土) 高原,中部以西は内モンゴル (蒙古) 高原との移行地帯にあたる。中部以西はホーシー (河西) 回廊で,砂地と礫質の砂漠地帯であるが,オアシスが点在しており,漢代からシルクロードの一部として,中国と西アジアの交流に重要な役割を果した。月平均気温は北西部で-14℃ (1月) ~11℃ (7月) ,南端のチャン (長) 江流域で4~26℃である。年降水量は南東部で 500mm,北西部で 50mm。耕地の大部分はホワントー高原にあるが,降水は夏季に集中していて,土壌の流失が激しく,しばしば干害に襲われた。人民共和国成立後は,植林,貯水池や灌漑水路の建設,段畑の造成などに力が注がれている。ホーシー回廊では 1600kmに及ぶ防風防砂林を建設して耕地の保全と拡大をはかっている。食糧作物としてはコムギキビ,アワが多く,高地ではハダカムギトウモロコシも栽培。工芸作物ではワタ,ゴマ,テンサイ,タバコが主。チベット高原ではウマ,ヤク,ウシ,ヒツジの牧畜が盛ん。地下資源はユイメン (玉門) 市の石油,カオラン県の銅のほか石炭,鉄,硫黄,塩などがある。工業はランチョウ市,ユイメン市,ティエンシュイ (天水) 市,チヤユイコワン (嘉峪関) 市などに発達。石油精製,化学,鉄鋼,機械,毛紡織の大工場があり,搾油,畜産品加工,製糖製紙なども盛んである。ランチョウ市は中国西部の鉄道と航空路のかなめで,ロンハイ (隴海) 鉄道,ランシン (蘭新) 鉄道,チンラン (青蘭) 鉄道,パオラン (包蘭) 鉄道が接続している。住民は漢族のほかホイ族,チベット族,トンシャン族,モンゴル族,バオアン族,ユーグ族など多様。面積 45万 km2。人口 2237万 1141 (1990) 。

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