翻訳|gas meter
管中を通過したガスの体積を積算して計量する計器。都市ガスや液化石油ガス(LPG)を取引する際の計量などに広く用いられている。膜式、湿式、回転子型などの種類がある。これらはいずれも実測式とよばれる測定方法によっており、可動壁で仕切られた一定体積の計量室をもち、この部分にガスを満たして順次送り出す回数を数えて計量を行う。膜式ガスメーターは家庭用として使われているもので、柔軟な膜を隔壁とする2個の計量室をもち、膜の動きによって弁を作動させてガスの流路を交互に切り換える。耐久性に優れ、手入れなしで10年程度使用できる。湿式ガスメーターは水または油の自由液面を隔壁とし、回転軸に取り付けた複数個の計量室が回転しながら順次ガスを量り取る。取り扱いは不便だが、精度が高いため基準メーターとして用いられる。回転子型ガスメーターは、回転子と周囲の壁との間に回転によって順次移動する計量室を構成するようにつくられている。回転子と壁との間にわずかなすきまがあるため多少の漏れは避けられないが、小形で大容量の計量を行うことができる。前記の実測式のほか、1980年ごろから各種の流量計・流速計(絞り流量計、コリオリ流量計、羽根車など)と電子式積算機構を組み合わせた装置が取引用ガスメーターとしても利用されている。
[三井清人]
気体の体積を測定する計器。とくに都市ガスやプロパンガスの使用量を測定する取引用のメーターを指すことが多い。動作原理や構造で膜式ガスメーター,タービンメーター,湿式ガスメーターに大別される。
湿式ガスメーターは水で半分満たされたケースの中で,4個の部屋に仕切られた内円筒が中央から流入するガスの圧力で回転して一定容積のガスを計量する。通過体積が回転数と対応する。タービンメーターはガスの流れで羽根車を回す。膜式ガスメーターは水を使わないので乾式ガスメーターとも呼ばれる。合成ゴムと軽金属とで構成された2個のふいごに交互にガスが入り,排出するのでふいごは伸縮運動を繰り返すが,2個のふいごの運動の位相が90度ずれているので,それを合成して滑らかな回転運動とする。
回転運動に応じて適当なタイミングでガスの出入を制御する弁を開閉する。以上のガスメーターは,いずれも通過したガスの体積に比例した回転数が得られるので,それを計数器で数値表示する。都市ガス用のガスメーターはほとんど膜式である。一方,湿式ガスメーターは膜式より測定精度が高いので膜式ガスメーターの検査用に使用されるが,水面が一定レベルに保たれなければならない。
都市ガスやプロパンガスの取引用メーターは計量法により国が検定を行い,検定証印とその有効期間が示されている。許容誤差は常用範囲で指示値の±1.5%以内,検定有効期間は7年。
執筆者:山崎 弘郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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