ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガリック」の意味・わかりやすい解説
ガリック
Garrick, David
[没]1779.1.20. ロンドン
イギリスの俳優,劇場経営者。 1741年ライダル Lyddalの芸名で初めて舞台に立ったのち,『リチャード3世』を主演。それまでのフランス風の歌うようなせりふ回しや大げさな芝居を排し,自然な,しかも力強い演技の様式を確立,当時のロンドン劇界に新風を吹込んだ。『ハムレット』『マクベス』,特に『リア王』の演技が有名。 47年ドルアリー・レーン劇場の免許を買って劇場経営に乗出し,シバー夫人,P.ウォフィントン,クライブ夫人らを擁し,ドルアリー・レーンの全盛期を築いた。シェークスピアの詩的表現よりも演劇的場面を重視し,『ハムレット』の墓掘り場面や『リア王』のフール (道化) を省略するなどの勝手な改訂を行いはしたが,シェークスピア劇を復興し,またそのテキストに対する関心を呼起した功績は大きい。また舞台上の観客席を廃止し,照明設備を観客から見えないようにするなど,舞台機構の点でも大きな改良を行なった。自分でも多くの脚本を書いたが,G.コルマンとの共作『日陰の結婚』 The Clandestine Marriage (1766) や,W.ウィッチャリーの『田舎女房』を翻案した『田舎娘』 (66) が有名。
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