キャッテル(読み)きゃってる(英語表記)James Mckeen Cattell

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キャッテル」の意味・わかりやすい解説

キャッテル(Raymond Bernard Cattell)
きゃってる
Raymond Bernard Cattell
(1905―1998)

イギリス育ちのアメリカの心理学者。スタッフォードシャーの生まれ。ロンドン大学化学専攻、さらにスピアマンのもとで心理学を研究し1929年学位を取得。しばらくイギリスで働いたのち、1937年にアメリカに渡りコロンビア大学などを経て1944年からはイリノイ大学教授。彼のパーソナリティー理論は、スピアマンやサーストン因子分析法を利用してパーソナリティーの源泉的特性を確定しそれを測定しようとするもので、信頼性の高い源泉的特性としては、たとえば、(1)分裂性―回帰性、(2)一般的精神力―精神欠陥、(3)情緒的安定―情緒的不安定、(4)支配性―従属性などがあげられる。そのパーソナリティー発達の理論は精神分析的な考え方の影響が強く、臨床的な神経病理的パーソナリティーの所見を含む方向をとっている。

[宇津木保]


キャッテル(James Mckeen Cattell)
きゃってる
James Mckeen Cattell
(1860―1944)

アメリカの心理学者。ペンシルベニア州の生まれ。W・ブント弟子で、その助手ゴルトンの影響を受け、反応時間などの個人差の研究に専念した。1887年ペンシルベニア大学に招かれ心理学の実験室をつくり、世界で初めて心理学で教授になった。1891年コロンビア大学に移り、すぐに実験室をつくり1917年まで教授。大学では学生についてゴルトン流のテストを行い、メンタルテストという新語をつくり、1890年代のメンタルテスト運動を促進した。彼が測定した反応時間や感覚の鋭さは高次知能とは相関を示さなかったので、ビネー知能テストに席を譲った。第一次世界大戦へのアメリカの参戦に反対したため職を退き、心理学の応用を企業化する団体をつくったり、心理学の専門誌やそのほか数種の科学雑誌を発行したりしてアメリカの科学界に貢献した。

[宇津木保]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キャッテル」の意味・わかりやすい解説

キャッテル
Cattell, James McKeen

[生]1860.5.25. ペンシルバニア,イーストン
[没]1944.1.20. ペンシルバニア,ランカスター
アメリカの心理学者。 W.ブントの助手。 F.ゴルトンの影響を受ける。コロンビア大学教授。アメリカ心理学創始期の指導者の一人。反応時間連想,読字などについて広く実験を行い,特に個体差,精神測定研究に貢献。"Psychological Review"創刊 (1894) に参与。死後その弟子が彼の論文や講演などを集めて"James McKeen Cattell,Man of Science" (2巻,1947) として出版。

キャッテル
Cattell, Raymond Bernard

[生]1905.3.20. スタッフォードシャー
[没]1998.2.2. ハワイ,ホノルル
イギリス生まれのアメリカの心理学者。第2次世界大戦前,ハーバード大学,イリノイ大学の心理学教授を務める。性格の因子分析に貢献。主著『人格の科学的分析』 The Scientific Analysis of Personality (1965) 。

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