ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギリェン」の意味・わかりやすい解説
ギリェン
Guillén, Nicolás
[没]1989.7.16. ハバナ
キューバの詩人。黒人の血をひく。独立後のキューバ文化運動のなかで,『ソンのモチーフ』 Motivos de son (1930) ,『ソンゴロ・コソンゴ』 Songoro Cosongo (1934) を発表し,キューバのみならず,ネグリチュード文学の旗手となる。黒人的語法と擬音や隠喩を多用,リズム感と素朴な情感に満ちたこれらの詩は,アフリカ黒人の伝統の豊かさとキューバ黒人独自の世界をもち,虐げられた人々の悲惨な現実を告発している。 1934年の『西インド諸島株式会社』 West Indies,Ltd.は,告発の姿勢がより強く,戦闘的確信に満ちている。 1937年共産党に入党,スペインでの国際反ファシスト文化擁護会議に参加して,内乱を目撃,『兵士のための歌と観光客のためのソン』 Cantos para soldados y sones para turistas (1937) を発表した。のちヨーロッパ,ラテンアメリカをジャーナリストとして歴訪。キューバ革命後は作家芸術同盟の会長を務め,革命と文化の擁護者として,また新文化の創造者として活動。ほかに『エレジー』 Elegías (1958) ,『大動物園』 El gran zoo (1967) など。
ギリェン
Guillén, Jorge
[没]1984.2.6. マラガ
スペインの詩人。詩人グループ「1927年の世代」の一人。詩作と同時にスペインやヨーロッパ各地,内乱後はアメリカでスペイン文学を講じ,詩論に『言語と詩』 Lenguaje y poesía (1962) がある。詩はほとんどが『うた』 Cántico (28~50) と『叫び』 Clamor (57~63) に収められ,いずれも日常世界に取材しながら,本質的に詩であるもののみを結晶させた透明な言語の世界を志向している。
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