日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギンパラ」の意味・わかりやすい解説
ギンパラ
ぎんぱら / 銀腹
black-headed munia
[学] Lonchura malacca
鳥綱スズメ目カエデチョウ科の鳥。同科キンパラ属34種中の1種。キンパラ属は一般に性質穏和で、嘴(くちばし)は厚くずんぐり形であり、色彩はじみで多くは栗(くり)色を基調としている。草本の種子、穀物のほか、昆虫なども食べる。ギンパラは中国南部、インド、スリランカ、インドシナ半島、大スンダ列島、ボルネオ島、フィリピン、スラウェシ(セレベス)島などに広く分布し、地域的色彩の変化が多く10亜種に分類される。
日本に輸入されてなじみの多い亜種はギンパラとキンパラとである。亜種のギンパラは全長約11センチメートル。頭部から上背、上胸にかけて黒色、以下は濃い栗褐色、腹部が黒色であることはキンパラに酷似するが、下胸部とわきの白色が異なる。分布は狭く、ネパール低地、インド半島、スリランカである。一方、亜種のキンパラは、大きさ、色彩はギンパラに似るが、わき、下胸の白色部がなく、腹から下尾筒にかけて濃黒褐色を帯びるか、または黒色である点が異なる。中国南部、ネパール東部低地、インド東部、バングラデシュなどに分布する。いずれも日本には古くから輸入され、観賞用として飼育されてきた。じょうぶな鳥であるから野生化するものが多く、局地的ではあるが湿地の丈の高い草原で繁殖するものが少なくない。本州中部地方以南での営巣期は9月上旬ないし11月中旬で、この間は繁殖地に集結するが、繁殖を終わるとほかの地へ移動する習性がある。そのほかの亜種としては、台湾産のタイワンキンパラが1935年(昭和10)ごろまで東京、神戸あたりの小鳥店にみられたが、近年はみられない。ジュウシマツの原種であるコシジロキンパラL. striataは同属であるが、ネパール、インド、スリランカ、中国南部、台湾などに分布する別種である。
[坂根 干]