改訂新版 世界大百科事典 「キンパラ」の意味・わかりやすい解説
キンパラ (金腹)
black-headed munia
Lonchura malacca
スズメ目カエデチョウ科の鳥。スズメより小さく,全長約11cm。雌雄同色。体は暗褐色で,頭頸(とうけい)部と下腹部が黒く,くちばしは灰青色である。よく似ていて腹部が白く,下腹部が黒いものをギンパラ(銀腹)というが同種の別亜種である。キンパラは中国南部からヒマラヤ,インドに分布し,ギンパラはインド中南部からスリランカに分布している。湿地のヨシ原や草地,あるいは水田のまわりにすんでいる。地上において雑草やイネの種子を食べる。1夫1妻で繁殖する。巣は水の上に茂っているヨシやガマの中,湿地の低木の茂みの中などに,草を粗雑に編んでつくる。これは天井のついたボール状で横にチューブ状の入口がついている。1腹5~6卵を産む。繁殖期以外は群れで過ごす。キンパラもギンパラも性質がおとなしく,種子食で飼いやすいので,日本にも飼鳥としてたくさん輸入されている。キンパラのほうが寒さに強い。粗食にも強く,ヒエ,アワ,キビなどを混ぜて飼料とする。禽舎(きんしや)の中には必ずつぼ巣を入れる。近年飼鳥の逃げ出したものが野外へすみついて,関東地方以南の暖かいところで繁殖もするようになった。都市周辺の水辺のヨシ原や草地に小群でおり,しばしば公園や空地の雑草地でも見られる。
執筆者:中村 登流
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報