日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュウシマツ」の意味・わかりやすい解説
ジュウシマツ
じゅうしまつ / 十姉妹
bengalee
[学] Lonchura striata var. domestica
鳥綱スズメ目カエデチョウ科の鳥。古く中国方面から輸入され日本で改良された品種である。原種は明らかでないが、インド、東南アジアに広く分布しているコシジロキンパラであるとされている。またこのコシジロキンパラに、インド、ヒマラヤ一帯に分布するギンバシL. malabaricaを交配したものがジュウシマツの原型になったともいわれる。全長約13センチメートル。一般に鳥は人為的に飼育されると羽色が変化しやすく、繁殖容易なものほど変化が速い。ジュウシマツは日本には江戸時代に中国から輸入され、年を経るにつれて羽色の変化が目だち、褐色系が現れた。その後、羽色は暗褐色を主色とするが実にさまざまの品種が作出され、飼鳥家の間ではそれぞれに名がつけられている。普通の品種は暗褐色と白との雑色で、ナミジュウシマツ(並十姉妹)とよぶ。褐色系の羽色にはチャジュウシ、クロジュウシ、ショウジョウジュウシなどがある。全身白色のものは昭和初年に固定されてシロジュウシ(白十姉)、その背面に褐色小斑(しょうはん)のあるものをコブチ(小斑)、頭上の羽毛が巻き羽になっているのをボンテンジュウシ(梵天十姉)、巻き羽が胸にあるのをチヨダなどという。また巻き羽の生ずる位置によってダイナゴン、チュウナゴンなどと名づけられ、巻き羽のあるものを総称して芸ものジュウシマツとよぶなどがその一例で、実に多彩である。おとなしい鳥で、群居させても仲がよいので十姉妹とよばれ、飼育も容易である。一般には庭箱に壺(つぼ)巣を入れて飼う。餌(えさ)はヒエ、アワ、キビを混ぜた撒き餌(まきえ)のほか、青菜、ボレイ(牡蠣)粉、水などを与える。また、ジュウシマツは抱卵、育雛(いくすう)にも長じているので、種々の飼い鳥の母鳥として重宝がられている。
[坂根 干]