クジメ(その他表記)Hexagrammos agrammus

改訂新版 世界大百科事典 「クジメ」の意味・わかりやすい解説

クジメ
Hexagrammos agrammus

カサゴ目アイナメ科の海産魚。北海道南部以南の日本各地沿岸および黄海に分布するが,とくに南日本に多い。アイナメホッケとよく似るが,両種が4本以上の側線をもつのに対し,クジメには1本の側線しかなく,また尾びれの後縁がまるく,後頭部に1暗色斑があるので区別は容易である。しかし,漁業上は区別されずにアイナメとして扱われることが多い。体色は生息環境によって変化するが,ふつうは暗褐色の地に淡色の小円斑点が多数存在する。体長30cmくらいになる。10~12月にかけて海藻の根もとなどに卵塊を産みつけ,雄がこれを保護する。孵化(ふか)後稚魚表層で泳ぎ,体長35mmを超えると沿岸の岩礁地帯や内湾の藻場などで底生生活を送る。雌は体長11cmほどで成熟するといわれる。エビ,カニなどの小型甲殻類をおもな餌とする。釣りや底刺網などで漁獲され,刺身照焼きなどになるが,味はアイナメより劣る。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クジメ」の意味・わかりやすい解説

クジメ
くじめ / 久慈目
spottybelly greenling
[学] Hexagrammos agrammus

硬骨魚綱スズキ目アイナメ科に属する海水魚。北海道南部から九州までの各地の沿岸域、朝鮮半島南部および黄海に分布し、とくに南日本に多い。一見アイナメに似ているため、それと混同されているが、クジメは側線が1本(アイナメは5本)で、尾びれの後縁が丸く、後頭部に暗色斑(はん)が一つあるので、容易に区別できる。眼の上と後頭部に皮弁がある。体色は生息場所によって著しく変化するが、普通、暗褐色の地に淡色の小円斑紋が密に散在する。沿岸の岩礁や藻場(もば)に生活し、晩秋に海藻の間に卵塊を産み付ける。雄が卵を保護する。体長30センチメートルぐらいになる。近縁種にはアイナメのほかにスジアイナメウサギアイナメなどがあるが、いずれも北日本に多い。釣り、刺網などで捕れる。煮つけ、刺身などにされるが、味はアイナメより劣る。

[尼岡邦夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クジメ」の意味・わかりやすい解説

クジメ
Hexagrammos agrammus

カサゴ目アイナメ科。体長約 30cmになる。体はやや長く,側扁する。尾鰭の後縁は丸い。他のアイナメ類と異なり,側線は1本あるのみ (アイナメでは5本) 。背鰭の棘条部と軟条部の境界は切込む。体色は変異に富むが,普通は暗褐色で,淡色の丸い斑紋が散在する。北海道南部から長崎県を経て黄海まで分布する。南日本の沿岸の藻場で普通にみられる。産卵期は 11月~1月で,雄は海藻の茎などに産みつけられた卵塊を保護する。釣りや刺網などで漁獲される。煮つけ,照焼きなどにされる。

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百科事典マイペディア 「クジメ」の意味・わかりやすい解説

クジメ

アイナメ科の魚。地方名アブラッコ,アブラメなど。全長25cm。アイナメによく似るが,色はやや黒く,側線は1本だけ。函館以南の日本各地の沿岸および黄海に分布し,海藻の間などにすむ。アイナメには劣るが,かなり美味。

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