クラウディアヌス(読み)くらうでぃあぬす(英語表記)Claudius Claudianus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クラウディアヌス」の意味・わかりやすい解説

クラウディアヌス
Claudianus, Claudius

[生]370頃
[没]404頃
ローマ帝国末期の詩人アレクサンドリアで育ったギリシア人で,395~404年ローマとミラノに滞在,ホノリウス帝や将軍スチリコを称賛して彼らの敵を誹謗する公式の詩を書いた。ゴート戦争やアフリカの強奪者ギルドに対する戦争を歌った叙事詩もまたスチリコ将軍の称賛詩である。これらの詩は極度の技巧と力強い雄弁と,母なるローマに対する愛情を示し寓喩暗示や神話の挿話に満ちている。作品はほかに,ホノリウス帝の結婚を祝う祝婚歌,未完の神話詩『プロセルピナ誘拐』 De Raptu Proserpinae,牧歌エピグラムなど。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラウディアヌス」の意味・わかりやすい解説

クラウディアヌス
くらうでぃあぬす
Claudius Claudianus

生没年不詳。紀元400年前後に活躍したローマの詩人。アレクサンドリア出身のギリシア人で、ミラノにきて宮廷詩人になり、スティリコ将軍とホノリウス帝の称揚詩、彼らの政敵に対する誹謗(ひぼう)詩、戦争叙事詩、神話叙事詩、祝婚歌、エピグラムなどを残した。作品はアレゴリーや暗示に満ち、神話伝説の挿話を豊富に用い、高度の技巧と力強い雄弁、深い愛国の情を示している。

[中山恒夫]

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