クラクトン文化(読み)くらくとんぶんか(英語表記)Clactonian culture

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラクトン文化」の意味・わかりやすい解説

クラクトン文化
くらくとんぶんか
Clactonian culture

ヨーロッパ北部にみられる前期旧石器文化握斧(あくふ)(ハンド・アックス)をもつアブビル文化アシュール文化に併存していた剥片(はくへん)系の文化と考えられていたが、今日では、独立の文化ではなく、アブビル、アシュール両文化に属する特殊な形の遺跡から発見される石器群である、とする考え方も出ている。ロンドン郊外の遺跡で最初に発見され、命名された。ここからは最古木器とされる木製の槍(やり)も出土している。

藤本 強]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クラクトン文化」の意味・わかりやすい解説

クラクトン文化
クラクトンぶんか
Clactonian culture

前期旧石器時代にヨーロッパ大陸を中心に栄えた剥片系の文化。アブビル,アシュール両文化とほぼ平行して存在したと考えられ,この両文化が握斧系の文化であるのに対し,剥片石器を主とした点が特徴とされていた。最近になり,クラクトン文化は握斧系の文化と同一であり,両者を区別すべきではないという考えも提出されているが,まだ定説にはなっていない。

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