ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲のオラトリオ(BWV248)。『新約聖書』「マタイ伝」第2章と「ルカ伝」第2章の一部、および他の宗教詩(作詞者不明)を歌詞としている。ただし全体に一貫した筋書きはなく、音楽としての統一性にも欠けるため、むしろクリスマスから新年にかけて各祝日に用いる6曲からなる「連作カンタータ」とみなすべきであろう。トランペットやティンパニを加えた祝祭的な編成で、世俗カンタータから転用された部分も多く、全体に明るく華やかな印象を与える名曲である。初演は1734~35年ライプツィヒ。なお、ハインリヒ・シュッツにも『クリスマス・オラトリオ』と訳されている作品“Historia von der Geburt Jesu Christi”(1664)がある。
[三宅幸夫]
…その間ドイツではプロテスタント教会音楽の中でオラトリオの独自の型が形成された。17世紀のドイツ語の受難曲やヒストリア(クリスマスや復活の物語のための朗唱風音楽)から発展したこのドイツ語オラトリオは,聖書の章句に自由な創作詩とコラールを挿入したもので,バッハの《クリスマス・オラトリオ》(1734‐35)に代表される。その後ホモフォニックな作風によるテレマンの《審判の日》(1762)や,抒情的要素の強いC.P.E.バッハの《イエスの復活と昇天》(1787)などを経て,ハイドンの《天地創造》(1796‐98)と《四季》(1799‐1801)へ至る。…
…プロテスタントの教会でも深夜の礼拝のほか,クリスマスのシーズンを通じて特別に作曲された作品や賛美歌,オルガン曲が演奏される。とくに有名なのは,壮大な規模をもつバッハの《クリスマス・オラトリオ》である。 クリスマスの音楽には,ルネサンスや中世にまでさかのぼる古曲が多い。…
…1724年),《マタイ受難曲》(BWV244。1729年または1727年),《クリスマス・オラトリオ》(BWV248。1734年)などの名作が続々と生み出された。…
※「クリスマスオラトリオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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