日本大百科全書(ニッポニカ) 「ティンパニ」の意味・わかりやすい解説
ティンパニ
てぃんぱに
timpani(単数形tinpano) イタリア語
kettledrum(s) 英語
Pauke(n) ドイツ語
timbale(s) フランス語
半球形の胴をもつ太鼓の一種。西アジアの2個1組からなる小形の釜(かま)形太鼓ナッカーラに由来する。オーケストラでは、17世紀から使用されている。直径58~76センチメートルのものが多く用いられ、大きさの異なる2台以上を並べて使うのが通例である。1個だけを使うのは例外的であり、複数形でよぶのが普通。
明確な音高をもち、それを5度程度の範囲で変えることができる。直径76センチメートルのもので、通常、D2が最低音である。もっとも単純な手締めティンパニは、胴の周囲の数本のハンドルを回して膜の張力を変えることで音高を変える。一つのハンドルを回すだけで膜全体の張力を調節できる機構をもつのがマシーン・ティンパニ、ペダル操作によるのがペダル・ティンパニである。硬軟さまざまな材質の桴(ばち)(スティック)を使い分けて音色を変える。
[前川陽郁]