鎮咳剤（読み）チンガイザイ

デジタル大辞泉

ちんがい‐ざい【鎮^×咳剤】

咳せきをしずめるための薬剤。コデイン・エフェドリン・ナルコチンなど。咳止め。鎮咳薬。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ちんがい‐ざい【鎮咳剤】

1. 〘 名詞 〙 せきをしずめる薬剤。コデイン・ノスカピン・桔梗根・桜皮の類を使用。咳止め。
   1. [初出の実例]「あまり飢(ひもじ)い時、空腹をしのぐため鎮咳剤を飲む者もいた」(出典：海と毒薬（1957）〈遠藤周作〉一)

出典　精選版 日本国語大辞典

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版

鎮咳剤

製品名
《エプラジノン塩酸塩製剤》
レスプレン（太陽ファルマ）
《クロフェダノール塩酸塩製剤》
コルドリン（日本新薬）
《クロペラスチン製剤》
フスタゾール（ニプロESファーマ）
《ジメモルファンリン酸塩製剤》
アストミン（オーファンパシフィック）
ジメモルファンリン酸塩（辰巳化学）
ジメモルミン（高田製薬）
《チペピジンヒベンズ酸塩製剤》
アスベリン（ニプロESファーマ）
《デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物製剤》
アストマリ（鶴原製薬）
デキストロメトルファン臭化水素酸塩（東和薬品、日医工、ニプロ、日本ジェネリック）
メジコン（塩野義製薬）
《ノスカピン製剤》
ノスカピン（小堺製薬）
《ペントキシベリンクエン酸塩製剤》
ガイレス（コーアイセイ）
ペントキシベリンクエン酸塩（鶴原製薬）
《ベンプロペリンリン酸塩製剤》
フラベリック（ファイザー）
《麻薬性鎮咳剤》
コデインリン酸塩（コーアイセイ、シオエ製薬、第一三共、第一三共プロファーマ、武田薬品工業、武田テバ薬品、日本新薬、ニプロ、丸石製薬）
ジヒドロコデインリン酸塩（第一三共、第一三共プロファーマ、武田テバ薬品、武田薬品工業、日本新薬、ニプロ、丸石製薬）
メテバニール（第一三共、第一三共プロファーマ）
リン酸コデイン（岩城製薬、小野薬品工業、健栄製薬、寿製薬、東洋製薬化成、中北薬品、日医工、日興製薬販売、ニプロ、扶桑薬品工業、ファイザー、マイラン製薬、山善製薬、吉田製薬）
《その他の鎮咳配合剤》
カフコデN（ファイザー）
クロフェドリンS（杏林製薬、キョーリンリメディオ）
ニチコデ（日医工）
フスコデ（マイランEPD）
フスコブロン（武田テバファーマ、武田薬品工業）
プラコデ（小林化工）
ムコブロチン（東和薬品）
ライトゲン（帝人ファーマ）

　脳の延髄えんずいという部分にあるせき中枢（せきをおこさせる細胞群）の興奮を鎮めて、せきを止める作用をもつ薬です。感冒（かぜ）、気管支炎、気管支拡張症、肺炎、肺結核、咽頭炎いんとうえん・喉頭炎こうとうえん、鼻カタルなどによっておこるせきを抑えます。

　チペピジンヒベンズ酸塩製剤のように、たんを排出しやすくして、せきを減少させる作用をあわせもつ薬、クロペラスチン製剤のように、気管支筋の緊張を緩める作用や、せきを抑える弱い抗ヒスタミン作用をあわせもち、副作用がほとんどない薬、ペントキシベリンクエン酸塩製剤のように、麻酔作用によって気管支筋の緊張を緩和する作用をあわせもつ薬などがあります。

①薬によっては、発疹ほっしんなどの過敏症状（アレルギー症状）がおこるものがあります。

　麻薬性鎮咳剤では依存性が現れることがあります。さらにコデインリン酸塩製剤では、呼吸抑制、錯乱、無気肺、気管支けいれん、喉頭浮腫、麻痺性イレウス、中毒性巨大結腸がおこることがあります。

　デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物製剤では、呼吸抑制、ショック、アナフィラキシーがおこることがあります。

　チぺピジンヒベンズ酸塩製剤では、せき、腹痛、嘔吐、呼吸困難を伴うアナフィラキシーが、クロフェダノール塩酸塩製剤では、ショック、アナフィラキシー、皮膚粘膜眼症候群、多形滲出性紅斑がおこることがあります。

　このような症状がおこったときは使用を中止し、すぐ医師に相談してください。

②頭痛、ねむけ、めまい、不眠、食欲不振、吐き気・嘔吐おうと、便秘、腹痛、口内や喉の渇きなどがおこることがあります。

　このような症状がおこったときは医師に相談してください。

①いろいろな剤型があって、食後の服用が原則ですが、1日の使用回数と使用時間・1回の使用量については医師の指示をきちんと守り、かってに中止、増量・減量しないでください。また、液剤やシロップ剤は、使う前によく振ってから服用してください。アニスーマは坐剤です。

　薬によっては、噛かみくだくと口の中にしびれや苦味が生じることがあるので、噛まずに服用してください。

②麻薬性鎮咳剤、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物製剤、鎮咳配合剤では、使用中にねむけをおこすことがあります。自動車運転や危険を伴う作業は避けてください。

③あらかじめ問診の際に、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告するとともに、使用前に薬の効果と副作用について医師からよく説明を聞き、注意事項を守ってください。

　とくに、過去に鎮咳剤やほかの薬を使用して過敏症状をおこしたことのある人、糖尿病やその疑いのある人は、必ず医師に報告してください。

　デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物製剤はモノアミン酸化酵素（MAO）阻害剤を使用中の人には使用できません。ペントキシベリンクエン酸塩製剤では緑内障の人には使用できません。麻薬性鎮咳剤や鎮咳配合剤は重い呼吸抑制のある人には使用できません。さらに、コデインリン酸塩やリン酸コデインは気管支喘息発作中、重い肝機能障害、慢性肺疾患に続く心不全、けいれん、急性アルコール中毒、アへンアルカロイド過敏症、出血性大腸炎のある人に、ジヒドロコデインリン酸塩は慢性肺疾患に続く心不全、けいれん、急性アルコール中毒、アへンアルカロイド過敏症のある人に、鎮咳配合剤はアへンアルカロイド過敏症、緑内障、下部尿路閉塞疾患のある人やカテコラミン製剤を使用中の人に、カフコデNは気管支喘息発作中、アスピリン喘息、消化性潰瘍、重い肝・腎機能障害、重い血液異常、重い心機能不全、緑内障、下部尿路閉塞疾患のある人やカテコラミン製剤を使用中の人には使用できません。

④妊婦、現在妊娠している可能性のある人、母乳で授乳中の人は、あらかじめその旨を医師に報告してください。

出典　病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版

日本大百科全書(ニッポニカ)

鎮咳剤
ちんがいざい

→咳どめ

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)