クレーベ

化学辞典 第2版 「クレーベ」の解説

クレーベ
クレーベ
Cleve, Per Teodor

スウェーデンの化学者,鉱物学者,海洋学者.ストックホルムに生まれる.1858年ウプサラ大学で化学と植物学を学んだのち,ランタンイットリウムテルビウムエルビウムなどの元素の発見者で知られるストックホルム大学のC.G. Mosander(1797~1858年)から鉱物学を学び,1863年鉱物分析研究により学位を取得した.自然界の物質の分析研究に従事しながらストックホルムの技術研究所で化学を教える一方,ウプサラ大学で化学の助教授,1874年同大学の一般化学,農芸化学の教授となる.1900~1905年スウェーデン王立科学アカデミーのノーベル賞化学委員会の議長を務める.化学上の貢献は広く,希土類元素ツリウム,ホルミウムの発見(1879年),有機化学ではアミノスルホン酸ナフタレン化合物の研究,後年にはプランクトンと海洋の関係など生物学の研究を行い,海洋学の先駆者となった.また1879年には,L.F. Nilsonが同年発見したスカンジウムが,D.I. Mendeleev(メンデレーエフ)が周期律にもとづいて予言していた未発見元素「エカホウ素」であることを示した.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレーベ」の意味・わかりやすい解説

クレーベ
Cleve, Per Teodor

[生]1840.2.10. ストックホルム
[没]1905.6.18. ウプサラ
スウェーデンの化学者,博物学者。ウプサラ大学,次いでパリで C.ウュルツのもとに学び,帰国後,ウプサラ大学助教授 (1868) ,教授 (74) 。クロム白金アンミンなど錯塩化学の研究,無機化合物における異性現象の研究に寄与。 1879年,新しく発見されたスカンジウムが D.メンデレーエフが予言していたエカホウ素であることを示し,同年希土類元素のホルミウムツリウムを発見した。なお,ナフタリンの化学,西インド諸島の地質や,北海のプランクトンに関する研究など,科学の広い範囲にわたって活躍した。

クレーベ

「クレーウェ」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のクレーベの言及

【ツリウム】より

…周期表元素記号=Tm 原子番号=69原子量=168.9342地殻中の存在度=0.48ppm(60位)安定核種存在比 169Tm=100%融点=1545℃ 沸点=1727℃比重=9.332電子配置=[Xe]4f135d06s2 おもな酸化数=III周期表第IIIA族,希土類元素に属するランタノイド元素の一つ。1879年スウェーデンのクレーベP.T.Cléveが,当時エルビウムErの酸化物とされていたエルビアから新元素としてこのものの酸化物を分離し,世界の最北端にあると考えられた島トゥーレThoulēにちなんで命名した。ユークセン石,ガドリン石などに含まれるが,ランタノイド元素中最も希産の元素の一つである。…

※「クレーベ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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