クロイゲ(その他表記)Sageretia theezans(L.)Brong.

改訂新版 世界大百科事典 「クロイゲ」の意味・わかりやすい解説

クロイゲ
Sageretia theezans(L.)Brong.

クロウメモドキ科の半常緑あるいは落葉でややつる性の低木。短枝が変形したとげを有し,枝は灰色で短い軟毛がある。葉は対生し,短い有毛葉柄がある。葉身は広卵形で長さ2~3cm,こまかい鋸歯があり,革質で光沢がある。花は頂生または腋生(えきせい)する穂状花序につき,小型で黄色。花期は秋,黒熟する核果は2~3個の種子を有する。温暖地の海浜の向陽地に多く,四国,九州から南西諸島,中国大陸,さらにヒマラヤにまで分布している。エンドウ豆ほどの大きさの果実食用にされる。葉は中国で安物の茶として利用された。またアメリカに導入されて生垣に用いられている。

 クロイゲ属Sageretiaはアジア南東部と北アメリカからメキシコにかけて隔離分布し,約15種が知られている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロイゲ」の意味・わかりやすい解説

クロイゲ
くろいげ
[学] Sageretia thea (Osbeck) M.C.Johnst.

クロウメモドキ科(APG分類:クロウメモドキ科)の半常緑の低木で高さ2メートルに達する。枝は半つる性、灰黒色で刺(とげ)があり、若いときには灰色の毛がある。葉は卵形で長さ1~4センチメートル、質が厚く光沢があり、微細な鋸歯(きょし)があり、互生するが対生のようにみえる。花は黄色で、10月、円錐(えんすい)状花序に多数つく。果実は核果で、紅色ののちに黒紫色となり、食べられる。四国、九州、沖縄および中国、インドなどに分布する。クロイゲ属は35種がアジアと北アメリカにあり、日本には本種1種のみ分布する。

[門田裕一 2019年12月13日]

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