改訂新版 世界大百科事典 「クロゴキブリ」の意味・わかりやすい解説
クロゴキブリ
Periplaneta fuliginosa
ゴキブリ目ゴキブリ科の昆虫。雄雌とも全体に光沢ある漆黒褐色の有翅のゴキブリ。大型で雄は体長25mm内外,雌は25~30mm。日本の暖地の家屋内害虫としてもっともふつうに分布する。住宅に多くビルや飲食店などにはきわめて少ない。東京では5~9月の間,平均気温が20℃以上になると活動する。日本土着のヤマトゴキブリとは異なり,寒冷地を好まず,主として太平洋岸の東京付近より奄美大島にかけて分布するが,近年は人為移動によって北海道にも入った。国外では台湾,中国各地,北アメリカの南部諸州に分布し,中南米,ニコバル諸島からも記録があるが,原産地は確定できない。卵が20~30個くらい入っているアズキ粒のような卵鞘(らんしよう)を他物に産みつける。卵は60日くらいで孵化(ふか)し,幼虫は7~8齢を経るが,日本の気候では成虫まで育つのに一度冬を越すと思われる。近似の野生種にウルシゴキブリがあるが,これは翅が少し短い。
→ゴキブリ
執筆者:朝比奈 正二郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報