クロロピクリン(読み)くろろぴくりん(英語表記)chloropicrin

翻訳|chloropicrin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロロピクリン」の意味・わかりやすい解説

クロロピクリン
くろろぴくりん
chloropicrin

農薬の一種。クロルピクリンともいう。命名法による名称はトリクロロニトロメタン。化学式CCl3NO2、分子量164.4、融点-64℃、沸点112℃である。有機ニトロ化合物に塩素を作用させて得る揮発しやすい無色油状液体である。酸化性、腐食性があり、皮膚、粘膜を刺激する有毒物質であるが、その毒性と揮発性を利用して、穀物果実種子土壌などの燻蒸(くんじょう)、殺虫・殺菌剤に使われる。人間に対しては、大気中濃度19ミリグラム/立方メートルで催涙性を示し、2グラム/立方メートルで致命的となる。催涙窒息性の毒ガスに使われたことがあり、アメリカではPS、フランスではAquinite、ドイツではKlopとよばれることがある。

[岩本振武]

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