グァッシュ(読み)ぐぁっしゅ(英語表記)gouache フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グァッシュ」の意味・わかりやすい解説

グァッシュ
ぐぁっしゅ
gouache フランス語

水彩絵の具の一種。きわめて微粒子顔料を、アラビアゴムのつなぎ剤で練ったもので、展色性を増すためにシュガー・エステルや蜜(みつ)などを添加する。グァッシュの不透明で光沢のない質感は、透明水彩とは非常に対照的な効果を発揮する。羊皮紙、板、紙などの基底材に塗ることができ、その歴史は古い。中世には手写本の類にも使用され、またやや下っては油彩画の下塗りにも用いられた。マチスルオーモディリアニ、シャガールら、近代においてこの画材発色と質感を好んだ画家は多い。今日では油彩画の剥落(はくらく)部分の補彩に用いられることが多いが、これは、補彩した上から油剤を施すことにより油彩に近い質感が得られ、また必要に応じて容易に除去することができるためである。

[八重樫春樹]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グァッシュ」の意味・わかりやすい解説

グアッシュ
gouache

絵画用語。アラビアゴムを溶剤とする水溶性不透明絵具。あるいはその絵具で描いた絵。色彩は鮮明で,塗重ねると堅牢なマチエールが得られる。古くは古代ペルシア,エジプトで用いられ,ヨーロッパ中世のミニアチュールにも使用されたが,18世紀に流行し,その後もピカソ,マチス,ルオー,シャガールらが使用した。ほか水彩絵具との併用も可能。

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