アラビアゴム(読み)あらびあごむ(英語表記)gum arabic

翻訳|gum arabic

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラビアゴム」の意味・わかりやすい解説

アラビアゴム
あらびあごむ
gum arabic

アフリカ産のマメ科(APG分類:マメ科)アカシア属の植物アラビアゴムノキ学名Acacia senegal)、またはその同属や近縁の植物の幹に傷をつけて採取した樹液日照で乾燥した天然樹脂のこと。アラビアガムともいわれ、かつてアラビア半島を経由して輸出されたのでこの名がある。無色ないし淡黄色のガラス状樹脂である。主成分はアラビン酸とよばれる複雑な多糖であり、L-アラビノース、D-ガラクトースL-ラムノースおよびD-グルクロン酸からなる。通常、カルシウム、マグネシウムおよびカリウム塩として存在し、加水分解酵素および酸化酵素が含まれている。用途は、水彩絵の具の展色剤(バインダー)、医療用の粘滑剤、錠剤の結合剤、乳化剤、糊(のり)および接着剤、ガムシロップなどである。かつてその水溶液はアラビア糊とよばれて用いられた。現在市販されているアラビックヤマト糊は、ポリビニルアルコール水溶液が主成分である。

[福田和吉 2019年10月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アラビアゴム」の意味・わかりやすい解説

アラビアゴム
gum arabic

北アフリカ原産のマメ科アカシア属のアラビアゴムノキ Acacia senegalの樹液からとるゴム状樹脂。またこの樹脂を出す植物を単にこの名で呼ぶこともある。木は高さ 10m足らずの低木状で,2回羽状の複葉をつけ,葉のつけ根に鋭いとげをもつ。花は白色で,径 1cmほどの球状に密集してつく。樹脂の採取は 12月から4月頃にかけて行う。主要な栽培,生産はセネガルを中心にアフリカ西部で行われ,現在でも重要な輸出品となっている。成分となっている糖およびその誘導体は,アラビノース,ガラクトース,グルクロン酸など。こはく色ないし褐色の固形樹脂状のものとして産する。接着とか液体に粘りを与えるのに用いられ,インキや医薬の粘滑剤,乳化補助剤,糊,捺染染料の混合剤など具体的用途は広い。なお,同属の近縁種 A. laetaA. sieberianaA. seyalなどからも同様の樹脂がとれるが品質は劣るという。

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