グエン・チャイ(読み)ぐえんちゃい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グエン・チャイ」の意味・わかりやすい解説

グエン・チャイ
ぐえんちゃい
(1380―1442)

ベトナム詩人。1400年大学生試験に合格し、胡(こ)朝に仕える。のち、明(みん)軍がベトナムに侵攻したとき、平定王黎利(レ・ロイ)を助けて従軍功績をあげ重用される。10年にわたる抗戦ののち、明軍を国外に追討したとき書いた独立宣言文『平呉大誥(へいごだいこう)』は名文漢文)として知られる。39年官職を退いたのち、冤罪(えんざい)で一族とともに殺されるが、のちに名誉は回復された。代表作としては『平呉大誥』のほか『家訓歌(ザ・フアン・カ)』がある。これは父子・夫婦・妻子の務め、家族の躾(しつけ)を説いた796行に及ぶ68体の韻文詩である。

[竹内与之助]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グエン・チャイ」の意味・わかりやすい解説

グエン・チャイ(阮薦)
グエン・チャイ
Nguyên Trai

[生]1380
[没]1442
ベトナムの将軍。ベトナムを占拠した中国の明に対し 10年間抗戦を続けた黎利の将軍で,明軍を国外に追放したとき著わした『平呉大誥』は漢文で書かれた名文として有名である。また,字喃 Chu Nôm (漢字応用の国字) で書いた『家訓歌』は 15世紀の初めの作品で,家庭のしつけについての 796行の七七六八体の詩である。

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