日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
グランド・クーリー・ダム
ぐらんどくーりーだむ
Grand Coulee Dam
アメリカ合衆国、ワシントン州のコロンビア川にある重力式コンクリートダム。コロンビア平原の灌漑(かんがい)を主目的に計画され、1942年に完成した。高さ168メートル、総貯水量118億立方メートル、毎秒45立方メートルのポンプ6台で貯水を人工のバンクス湖に揚水し、20万ヘクタール(将来ポンプ12台で40万ヘクタール)を灌漑する。そのほか総出力238万キロワットの発電、洪水調節、舟航、レクリエーションなど多目的に利用される。その後1964年に調印されたアメリカ・カナダ両国の協力によるコロンビア川開発に関する条約に基づき、上流に貯水池群が建設されることとなり、総出力390万キロワットの第三発電所の増設が66年に着工、74年より発電が開始された。さらに第二次増設工事が着工され、最終的には1040万キロワットの発電が可能となる。グランド・クーリー・ダムは、ブラジル、パラグアイ両国が共同で開発したパラナ川のイタイプ発電所(1991年完成、1260万キロワット)に次ぐ規模となる。
[石﨑正和]