ダムの自重で水圧、揚圧力、地震力などの外力に対抗するダム。以前は石でつくられていたが、19世紀末以降はコンクリートでつくられるようになった。重力ダムは設計理論が簡明で、洪水・地震に対する安全性が高いが、大量のコンクリートを必要とし、ダムの重さを支えるために基礎岩盤が堅固であることが必要である。日本最初の重力ダムは1900年に竣工した布引(ぬのびき)ダム(兵庫県生田(いくた)川、高さ33.3メートル)である。高さが100メートルを超える重力ダムがつくられたのは1956年に竣工した五十里(いかり)ダム(栃木県利根川水系男鹿(おが)川、高さ112メートル)と佐久間ダム(静岡県・愛知県天竜川、高さ155.5メートル)が最初である。2011年版ダム年鑑(日本ダム協会)によると、日本には974(ダム総数の約36%)の重力ダムがあり、高さが100メートル以上のダムは31ある。日本でもっとも高い重力ダムは奥只見(おくただみ)ダム(新潟県・福島県阿賀野(あがの)川水系只見川、高さ157メートル、1960年竣工)で、日本で5番目に高い。世界でもっとも高い重力ダムはスイスのグランド・ディクセンスダム(高さ285メートル、1961年竣工)で、世界で4番目に高い。
[鮏川 登]
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… ダムに近代的な設計理論がとり入れられるようになるのは19世紀も後半になってからのことである。1895年にフランスのエピルナ付近にあった石造のブゼイ・ダムが決壊したが,その研究から揚圧力(ダム底にかかる水圧)の存在が認められ,これを設計にとり入れることによってようやく重力ダムの近代的な設計体系が確立されたのである。設計理論の進歩とあい前後してダム材料,施工方法も発展を遂げ,アメリカでは,1905年にニュークロトン・ダムで初めてポルトランドセメントが使われ,1910‐15年に建設したケンシコ・ダムでは高度な機械化施工をしてダム建設史に新しい時代をもたらした。…
※「重力ダム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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