改訂新版 世界大百科事典 「グリソン」の意味・わかりやすい解説
グリソン
grison
greater grison
Galictis vittata
毛色がアナグマに似るが体型はイタチに似た食肉目イタチ科の哺乳類。メキシコ南部からブラジル南東部,ペルー中部までの森林に分布する。体長47~55cm,尾長16cm前後,体重1.4~3.5kg。四肢がきわめて短く,首と胴が細長く,体型はイタチに似るがはるかに大きい。顔,のど,首の下面,四肢は黒色,後頭から首,背,腰の背面と尾は灰色,頭頂から短い耳介と首側を通り前肢の基部に達する顕著な白帯がある。低地から標高1200mまでの森林や疎林に1対または小群ですみ,木の根や岩の下,倒木のうろ,ビスカチャ(チンチラに近縁の齧歯(げつし)類)などが掘った穴などをすみかとする。動作はすばやく,巧みに木に登り,またよく泳ぐ。昼夜とも活動し,小さな獣,鳥とその卵,トカゲ,カエル,昆虫,果実などを食べる。3~10月に1腹2~4子を生む。寿命は飼育下で10年余。若くから飼うとよくなれ,よいペットになる。チリの原住民は19世紀の初めまでこれを家畜として飼い,チンチラ狩りの際,チンチラを穴から追い出すのに使っていたといわれる。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報