翻訳|Guiana
南アメリカ北東部、大西洋に面する地方。オリノコ川、カシキアレ川(オリノコ川の上流部が南へ延びてネグロ川の源流の一つと合流する部分)、アマゾン川およびその支流のネグロ川などの水域で囲まれた地方の総称である。南アメリカ唯一のヨーロッパ植民地を含み、西からガイアナ(旧イギリス領ギアナ)、スリナム(旧オランダ領ギアナ)、フランス領ギアナに分かれる。1499~1500年にスペイン人のオヘーダAlonso de Ojada(1465?―1515)およびベスプッチによって発見された。その後、1613年からオランダ人が植民地経営に乗り出し、1650年ごろフランスがカイエンヌ付近を手に入れ、さらに19世紀に入ってからイギリスが現在のガイアナ地域をオランダから奪った。
ギアナ地方は北部の海岸平野、中央部の丘陵地帯、南部のギアナ高地に区分される。海岸平野は、河川によって運搬されてくる泥や、シルト、砂からなり、そこには多数の砂州やラグーンがみられる。丘陵地帯は結晶質岩石からなり、風化によって地表にはラテライト質土壌が残っている。南部のギアナ高地の標高は約1000メートルであるが、西端のベネズエラとの国境では2810メートル(ロライマ山)に達する。河川はいずれも南部のギアナ高地に源を発し、北東または北に流れて大西洋に注いでいるが、丘陵地帯の所々に滝や早瀬があるため航行可能な水域はごく短い。最大の河川はガイアナのエセキボ川で、この川の支流のポタロ川にかかるカイエツール滝(落差約250メートル)は世界最大級の滝の一つである。
また大西洋に注ぐ諸河川の下流地域、とくにスリナムのパラマリボ付近は世界的なボーキサイトの産地である。気候は高度によって変化し、海岸の平野部は湿潤な熱帯雨林気候で、砂糖、米、コーヒー、カカオ、バナナの産が多い。内陸はサバナ気候でカンポスとよばれる疎林が発達している。
[山本正三]
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