グレートイースタン号(読み)グレートイースタンごう(その他表記)Great Eastern

改訂新版 世界大百科事典 「グレートイースタン号」の意味・わかりやすい解説

グレート・イースタン号 (グレートイースタンごう)
Great Eastern

1858年イギリスで進水した画期的な大型船で,以後約50年間はこれより大きい船は出現しなかった。ブルネルIsambard Kingdom Brunel(1806-59)の設計で,全長211m,幅25.2m,総トン数1万8915トン,推進装置として船体中央付近の両側に1対の外車,船尾にスクリュープロペラ装備しているほか,6本のマストには縦帆主体とした帆装をもつ。維持費が高くつくなど商業的には失敗に終わり,大西洋海底ケーブルの敷設に利用されただけで88年解体された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グレートイースタン号」の意味・わかりやすい解説

グレート・イースタン号
ぐれーといーすたんごう
Great Eastern

外輪とスクリューの両方を備えた唯一の汽船。1858年にイギリスのラッセル造船所で建造された。1万8914総トン、満載排水量2万7400トン、8300馬力、長さ207メートル、6本マストに約5400平方メートルの帆を張ることもできた。船体は10個の水密区画に分かれ、竜骨から水線までの鉄の外板は二重になっていた。主甲板も同様であった。速力約15ノット(外輪、スクリュー併用のとき)、船客定員4000人、乗組員400人。大型船のため揺れないと考えられていたが、あてはずれであり、速力も予定より出ないなどの欠点が生じた。また大型すぎて入港困難な港が多く、商業的にも失敗した。65年からケーブル船に転用され、ヨーロッパ―アメリカ間に海底電線を引くなど、この面では大きな功績をあげた。しかし1888年に解体された。本船出現後、次にこの船の長さを超す船が現れるまでに11年を要している。

[茂在寅男]

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百科事典マイペディア 「グレートイースタン号」の意味・わかりやすい解説

グレート・イースタン号【グレートイースタンごう】

1858年英国で建造された1万8915総トンの画期的大型汽船。英国のI.K.ブルネルの設計。蒸気機関による2個の外車と1個のプロペラを装備,また帆も備え,速力13ノット。ゴールドラッシュにわくオーストラリア航路就航のため建造されたものだが,ブームは急速に衰え経済的には失敗に終わり,1888年解体。20世紀に至るまでこれをしのぐ大型船は造られなかった。

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世界大百科事典(旧版)内のグレートイースタン号の言及

【客船】より

…また,当時一般的であった外車にかえてスクリュープロペラによる推進法を採用した。 グレート・イースタンGreat Easternイギリス。1858年建造。…

【客船】より

…旅客の輸送を主目的とする船。旅客船ともいう。法律上は旅客定員が12名を超える船はすべて客船として取り扱われ,復原性,救命設備,居住設備などについての規制を受ける。したがって,貨客船,連絡船,フェリーボートなどもそのほとんどが法律上は客船である。しかし,一般には客船といえば,クイーン・メアリー号(イギリス),クイーン・エリザベス号(イギリス)に代表される巨大で豪華な高速定期客船を指す場合が多い。このように高速定期客船は,1880年代から1950年代までの約80年にわたって世界中の航路で活躍し,とくにヨーロッパとアメリカを結ぶ大西洋航路では,当時の列強諸国がその国威をかけた優秀船が投入され性能を競った。…

※「グレートイースタン号」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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