ケトグルタル酸(読み)けとぐるたるさん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケトグルタル酸」の意味・わかりやすい解説

ケトグルタル酸
けとぐるたるさん

ケト酸の一つで、オキソグルタル酸ともいう。α(アルファ)-ケト(2-オキソ)グルタル酸とβ(ベータ)-ケト(3-オキソ)グルタル酸があるが、生体中に存在するのはα-ケトグルタル酸である。無色の結晶で、融点は112~113℃。生物体内ではTCA回路の重要な一員である。NADを補酵素として要求するイソクエン酸デヒドロゲナーゼにより、イソクエン酸から生成され、次にα-ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼによりスクシニル補酵素Aへと酸化される。また、グルタミン酸の酸化的脱アミノによっても生成され、アミノ基転移のアミノ基受容体となる。グルタミン酸、グルタミン、アルギニンヒスチジン、プロリンの炭素骨格は、α-ケトグルタル酸を経てTCA回路に入るなど、アミノ酸代謝においても重要な位置を占める。

[飯島道子]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケトグルタル酸」の意味・わかりやすい解説

ケトグルタル酸
ケトグルタルさん
ketoglutaric acid

(1) 2-ケトグルタル酸 α-ケトグルタル酸ともいう。化学式 HOOCCO(CH2)2COOH 。L-グルタミン酸の前駆物質として生化学的に重要なジカルボン酸。融点 115.5℃。グルコースから2-ケトグルタル酸発酵によって高収率でつくられる。水,エーテルに可溶。 (2) 3-ケトグルタル酸 化学式 HOOCCH2COCH2COOH 。クエン酸の酸化によって得られる針状晶。水,エチルアルコールに可溶,エーテルに難溶。熱水,酸,アルカリによってアセトンと二酸化炭素に分解する。融点 135℃ (分解) 。

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