グルタミン(読み)ぐるたみん(英語表記)glutamine

翻訳|glutamine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グルタミン」の意味・わかりやすい解説

グルタミン
ぐるたみん
glutamine

グルタミン酸のγ(ガンマ)-アミドで、栄養的には非必須(ひひっす)アミノ酸略号はGlnまたはQ。化学式はC5H10N2O3で、分子量146.15。1883年ドイツの化学者シュルツェErnst August Schulze(1840―1912)とボシャードE. Bosshardがテンサイ汁の中から発見した。遊離状態で多くの動植物中に分布する。L-グルタミンタンパク質を構成するアミノ酸の一つで、生体内ではアンモニア貯蔵の役割を果たし、核酸プリン核の生成などに関与する。また、フェニル酢酸結合して解毒する。腎臓(じんぞう)その他の組織中で、グルタミン酸とアンモニアから合成される。

[降旗千恵]

『神崎宣武著『日本人は何を食べてきたか――食の民俗学』(1987・大月書店)』『永津俊治他編『脳のレセプターと運動』(1990・平凡社)』『森正敬著『生体の窒素の旅』(1991・共立出版)』『マックス・ペルツ著、林利彦・今村保忠訳『生命の第二の秘密――タンパク質の協同現象とアロステリック制御の分子機構』(1991・マグロウヒル出版)』『Judy Shabert他著、斎藤英昭監訳『グルタミンのすべて――免疫系、消化器系、骨格筋へのすばらしい効果』(1994・三輪書店)』『川合述史著『分子から見た脳』(1994・講談社)』『武藤輝一編『最新 アミノ酸輸液』(1996・医薬ジャーナル社)』『佐藤昌康編、川人光男他著『ブレインサイエンス最前線』(1997・講談社)』『船山信次著『アルカロイド――毒と薬の宝庫』(1998・共立出版)』『板倉徹・前田敏博編著『小脳――神経科学の基礎と臨床7』(1999・ブレーン出版)』『片岡喜由著『岩波科学ライブラリー76 脳低温療法』(2000・岩波書店)』『栗原堅三他著『グルタミン酸の科学――うま味から神経伝達まで』(2000・講談社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グルタミン」の意味・わかりやすい解説

グルタミン
glutamine

略号 Gln ,その化学式は NH2CO(CH2)2CH(NH2)COOH 。アミノ酸の一種で,グルタミン酸のアミド。 (1) L体 テンサイの汁の中に見出され,多くの植物の生長の盛んな組織中に存在する。テンサイの汁から分離するか,L-グルタミン酸-γ-ヒドラジドの接触還元によって得られる。蛋白質加水分解では得られない。針状晶。融点 184~185℃。生体内ではアミノトランスフェラーゼの基質となる。 (2) D体  DL-トルエンスルホニルピロリドンカルボン酸のブルシンによるラセミ分割で得られる。融点 186~188℃。

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