ケルロイター(読み)けるろいたー(英語表記)Otto Koellreutter

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケルロイター」の意味・わかりやすい解説

ケルロイター(Joseph Gottlieb Koelreuter)
けるろいたー
Joseph Gottlieb Kölreuter
Joseph Gottlieb Koelreuter
(1733―1806)

ドイツ植物学者。チュービンゲン大学薬学を修めたのち、各地を転々とし、その間、植物の交雑による雑種形成実験を続けた。1764年カールスルーエ大学で博物学教授兼植物園長の職につき、その地で死んだ。彼の研究は1761年からの「植物の性に関する実験と観察」および三つの続報によって発表されている。そのなかで交雑による雑種65種を報告し、カメラリウスの植物の有性生殖説を確認している。また、交雑に関する技術を進歩させ、雑種強勢などの事実を発見しているが、形質を全体としてとらえていたため遺伝法則を発見することはできなかった。しかしメンデルは彼の研究に学んでいる。

真船和夫


ケルロイター(Otto Koellreutter)
けるろいたー
Otto Koellreutter
(1883―1972)

ドイツの国法学者。ハレ、イエナの各大学教授を経て、1933年にミュンヘン大学教授となり、1949年に退職した。ワイマール時代に民族的保守主義の国法学者として自由主義的法実証主義を論難し、「民族的法治国家」を主張して、1930年国会選挙後ナチスを支持する数少ない著名な国法学者の一人となる。同時に実務に密着した行政法にも強い関心をもち続け、行政法専門学術誌の編集を担当する。ナチス政権成立後、国法学会の重鎮として、一般国家学、憲法、行政法の三部作の綱要を著す。ナチスの法治国家の漸次的破壊を体験し、さらに東京帝国大学客員教授(1938~1939)を経て、ナチスに批判的となり、『英独における法と裁判官』(1943)でナチスを非難した。戦後、ふたたび一般国家学、公法、行政法の三部作の綱要を著すが、学界の反応は冷ややかであった。

[安 世舟]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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