日本大百科全書(ニッポニカ) 「カメラリウス」の意味・わかりやすい解説
カメラリウス
かめらりうす
Rudolph Jakob Camerarius
(1665―1721)
ドイツの薬学者、高等植物の生殖についての先駆的研究者。医学を修めたのち、オランダ、フランスなどを旅行して研究を続け、1688年、生地のチュービンゲン大学の薬学教授兼植物園長となる。高等植物の生殖に関心をもち、数多くの実験を繰り返した。その結果、たとえば、雌雄異株のクワでは雌株だけでは種子ができないこと、また雌雄同株のトウゴマなどの花でも成熟前の葯(やく)を切り取ると種子ができないことなどから、花は植物の生殖器官であり、葯が雄性生殖器官、子房が雌性生殖器官であり、したがって植物にも動物同様に性があるとした。この発見は交雑による植物の品種改良を可能にする道を開いた。
[真船和夫]