けんか祭(読み)けんかまつり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「けんか祭」の意味・わかりやすい解説

けんか祭
けんかまつり

祭りなかで,複数の集団の間で人や神輿などが激しくぶつかり合う行事。また,行事そのものとしてではなく,行事を行なうなかで複数の集団間で争いが起こることが恒常化している祭りもけんか祭と呼ばれることがある。行事としてけんかが見られる場合,その勝敗によって一年の豊凶を占う行事と理解されがちだが,そのような意味を見出すことができない祭りも多い。むしろ,日常的な社会関係や秩序をいったん停止して,生身の人間としての力がものをいう状態に回帰することで,あらためて関係を構築し人も社会も再生するという,隠れた意味も見出される。実際,祭りのなかでのけんかは,日常には持ち越さないとされ,祭りが終われば,また穏やかな関係が戻ってくるのが普通であり,より関係が深まるとされる場合もある。神輿をぶつけ合う兵庫県姫路市妻鹿のけんか祭や,屋台をぶつけ合う岩手県陸前高田市のけんか七夕など,全国には数多くのけんか祭りがあり,物理的なぶつけ合いはなくても,隣接集落との間で激しくののしり合う岩手県一関市大東町の悪口神様(→悪口祭)のような行事もある。

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世界大百科事典(旧版)内のけんか祭の言及

【宇佐神宮】より


[神事・宝物]
 中世には大小80余度の神事祭会があり,中でも放生会(ほうじようえ),行幸会は特殊神事として盛大に行われた。現在例祭は3月18日で,ほかに鎮疫祭(心経会)2月13日,御田植祭7月26日,神幸祭(夏越大祭,けんか祭)7月31日~8月2日,中秋祭(放生会)10月1~3日,春秋2度行われる致祭などがある。また奥宮大元神社(現,御許(おもと)山)の例大祭(春祭)は4月29日である。…

※「けんか祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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