改訂新版 世界大百科事典 「ダイアジノン」の意味・わかりやすい解説
ダイアジノン
diazinon
スイスのガイギー社が1952年に開発した有機リン酸エステル系殺虫剤。一般名,商品名ともダイアジノンである。ニカメイチュウ,ウンカ,ヨコバイなどのイネ害虫をはじめ広範囲の害虫に対して殺虫力を示し,哺乳類に対する急性毒性は,50%致死量LD50=250mg/kg(ラット(雄),経口)とかなり低い。作用機構はアセチルコリンエステラーゼ活性阻害である。本剤は他の有機リン酸エステル系殺虫剤およびカーバメート系殺虫剤に対して抵抗性を取得したツマグロヨコバイに殺虫力を示し,また有機リン酸エステル系殺虫剤などによって薬害を生じやすいトマト,ウリ類,果樹などに薬害が生じにくいという特徴を有する。接触剤,消化中毒剤のほか薫蒸剤として用いる。
執筆者:高橋 信孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報