(S)-2-propylpiperidine.C8H17N(127.23).セリ科ドクニンジンConium maculatumに含有されるアルカロイド.おもにラセミ体で存在するが,残さから光学活性体も得られる.2-プロペニルピリジンを還元して合成する.(S)-コニインは融点-2 ℃,沸点166 ℃.
+15.7°(希釈しない).
1.454.塩酸塩は融点221 ℃.ピクリン酸塩は融点75 ℃.水に可溶,アルコール,エーテルに易溶.強い有毒物質でおう吐,呼吸困難,麻ひを引き起こし,仮死状態を経て死に至る.[CAS 5985-99-9:(R)-コニイン]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…果実はほぼ球形で,直径約3.5mm,熟すと2分果に分かれる。分体に切ると不快な臭気があり,コニインconiineなどの有毒成分を含む。ドクゼリにつぐ有毒植物としてよく知られ,イギリスではヘムロックhemlockと呼ばれ,ソクラテスがこれをのんで死んだと伝えられている。…
…アセビを馬酔木と書くのも葉をたべたウマが酔ったようになるからで,ともに中枢神経を興奮の後に麻痺させるグラヤノトキシンを含むためである。ドクニンジンも中枢および運動神経末梢を麻痺させる成分コニインを含有し,ソクラテス処刑に用いられた。プラトンは著書《ファイドン》にソクラテスの手足が冷えやがて心臓が麻痺して死にいたる情景を描写している。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」